札幌に移転した東京オリンピック(五輪)のマラソン、競歩の追加移転経費が70、80億円程度と、100億円を下回る見通しであることが6日、複数の大会関係者への取材で分かった。コースが決定していないため流動的だが、組織委が試算を進めている。

マラソン、競歩の会場を同じ「大通公園」としたことで、運営に必要な資材などが共有でき、無駄を省いた。さらに観客席を設けないことで、大幅に経費を圧縮した。競技日程を4日間の集中開催にしたことで輸送費や宿泊費も抑えた。

当初、国際オリンピック委員会(IOC)は札幌ドーム発着を提案。しかし、ドームから外に出るマラソンゲートがなく、工事費が数十億円かかるともいわれていた。

IOCが札幌移転を発表した際、東京都議会の第1会派、都民ファーストの会が移転にかかる経費を東京マラソンの経費を基に約340億円と試算。単純比較はできないが、組織委は今回の追加経費を膨張させないよう知恵を絞ったことになる。

ただ、2周目以降のコースは決まっていないため、この試算が増減する可能性がある。今月中旬までに世界陸連が現地視察をし、コースを決定する。追加経費は組織委とIOCが分担する方向で調整している。道路舗装などの行政経費は地元自治体が負担するため、この試算には含まれていない。