平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)の開幕まであと8日に迫った。本紙評論家の小塚崇彦氏(28)が、データを基に競技の見どころを語ります。第1回のテーマは団体。14年ソチ五輪、その後2度の国別対抗戦の結果をもとに、各国・地域の戦力を探ります。【取材・構成=高場泉穂】

 小塚氏はデータから「日本はソチの時と状況が違う。今回は団体メダルの可能性は高いかもしれない」と分析する。

 フィギュアスケートの団体は男女シングル、ペア、アイスダンスの4種目合計で争う。団体初実施の14年ソチ五輪では5位。男子で羽生がショートプログラム(SP)1位、町田がフリー3位で得点を稼いだが、女子、ペア、アイスダンスはそれに上積みできなかった。

 だが、その後の国別対抗戦で日本は15年3位、17年には優勝とロシア、カナダ、米国の「フィギュア大国」に割って入る成績を残している。国別対抗戦では五輪と違い、シングルがSP、フリーそれぞれ2人出場するため、ペア、アイスダンスのポイントも単純計算で2倍にしてみたが、それでも日本はメダル圏内だ。

 小塚 日本は男女シングルが強い。そこでポイントを稼げれば十分メダルは考えられる。女子は宮原、坂本がそれぞれ出るとして、男子は羽生の状態によるが、団体を見送る可能性もある。その場合、SPが宇野でフリーが田中か。田中がどれだけ力を出せるかにも期待したい

 一方、ペア、アイスダンスで、上位国と差があるのは4年前と変わらない。

 小塚 カナダ、ロシア(ロシアからの五輪選手=OAR)はペア競技が2枠以上あるのに対し、日本はそれぞれ1枠。木原・須崎組、リード・村元組が、SP(アイスダンスはSD)、フリーを団体、個人と4回すべてこなさなくてはならない。体力的には厳しいが、個人の前に行われる団体にまず注力して、メダルを狙ってほしい

 また、OAR、カナダ、米国、日本4チームの現在の戦力は「意外と僅差」とも指摘する。団体メンバーは競技直前まで非公表。各チームがどの選手を投入するか、また各選手の調子によって結果はがらっと変わるとみられる。

 小塚 現状では、ロシアが4種目まんべんなく強い。カナダは、ペア、アイスダンス(どちらも3枠)が強いのはもちろん、女子で昨季世界選手権銀のオズモンドが出場するなら、手ごわい。米国は女子シングルとペア次第。2大会ぶりに五輪に出場する女子の長洲未来と、初出場のテネル、チェンがどれだけ対応できるか。また、中国もダークホース。(世界ランク1位の随、韓組などの)ペアと男子の金博洋らの演技次第ではあなどれない

 フィギュア最強国を決める戦いは、4年前より混戦となりそうだ。