伊藤華英のハナことば

自分のモチベーションは何かを考える/伊藤華英

「モチベーションはどこから来るんですか?」「私はモチベーションが保てなくて、やる気が出ません」

アスリートキャリアを終えたあと、勉強をしたり、さまざまな活動をしていくたびに聞かれた。

「そのバイタリティーはどこから来るんですか?」

そんな質問をされるたびに考えていた。

今言えることは、この「モチベーション」というものに、いつも自分は背中を押してもらっているということだ。


私は以前から、モチベーションって何だろうとぼんやり考えていた。それって必要なものなのかな、とさえも感じていた。

しかし、通っていた大学院のゼミで「やる気こそ人生の宝なり」という言葉に出会った。モチベーションとは「動機づけ」「やる気」。物事を進めていくにあたり、おそらくモチベーションは必要なものなのだと、考えるに至った。


「パフォーマンス向上」のための心理的な側面を考えてみよう。私の研究したメンタルタフネスは、心理的要因の中で最も必要なものだと先行研究に示されていた。続いて大きな要素となっているのが、セルフ・エフィカシー(自己効力感)、モチベーションだ。


現役時代はメンタル面で大いに悩んだし、答えのない暗闇に悶々とする日々もあった。「きっとダメなんだ」と思い始めると、「ダメなんだ」「できないんだ」という言葉が頭で渦巻いた。

前に進んでいくためにやるべきことはたくさんあるのに、頭の中がこんな言葉で一杯になったら、何もできなくなってしまう。

そんなとき、まず自分ができることを考える。そして気持ちを整理してみる。そこには「モチベーション」が大きく関わってくる。


モチベーションには「内発的」と「外発的」の2つがあると考えられている。内発的モチベーションは、達成感や、自己の成長などの内発的報酬を目標とする。外発的モチベーションは外部から与えられる報酬(主に金銭)を目標とするものだ。


私は現役時代も引退後も、内発的モチベーションが自分を突き動かしてきた気がする。大きな目標に向かって、というより、自分自身が満足したい、自信を持ちたいと思ってやってきた。

まずは、自分はどちらのモチベーションが心の多くを占めているかを考えてみるのもいい。

現代はあふれる情報に翻弄(ほんろう)されやすいし、どこに光を見つけていいか分からないかもしれない。自分は今、何を考え、どう感じているか、言語化してみる。正しさではなく、「自分とは」をこの時期に考えてみるということだ。

人はそれぞれの考え方があっていいと私は思う。その先にセルフ・エフィカシーが出てきて、「自分は●●ができる」と感じ始めれば、光が見えてくる。

こんな自分にたくさんの人が出会ってほしいと思う。

(伊藤華英=北京、ロンドン五輪競泳代表)

競泳界で「美女スイマー」として活躍し、北京、ロンドン五輪に出場した伊藤華英さんが、水泳に限らずさまざまなスポーツの魅力をアスリート目線でお伝えします。
 ◆伊藤華英(いとう・はなえ)1985年1月18日、埼玉県生まれ。01年世界選手権で初の日本代表入り。08年北京五輪で背泳ぎ2種目出場、12年ロンドン五輪で自由形リレー2種目出場。12年秋に現役引退。順大大学院博士後期課程修了。日大非常勤講師。173センチ。

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