熊本地震発生により女子ゴルフのKKT杯バンテリンレディースの開催中止が決まった15日、出場予定だった選手が次々に開催コースだった熊本空港CCを訪れ、荷物を引き揚げた。ご当地選手は被災に苦しむ同郷の人たちに思いを寄せた。

 一ノ瀬優希(27)は14日夜、犠牲者8人を出した益城町に隣接する御船町の実家アパートで被災した。「両親と家の中でしゃべっているとき、急に揺れがきた。ものは落ちてくるし、台所は大変な状態で…。恐怖でしかなかったです」。家は停電、断水。アパートの大家の事務所に一時避難後、15日午前2時ごろから車内で仮眠をとったという。今季は日本女子プロゴルフ協会(LPGA)のミーティング委員長を務める。選手会長にあたるポジションだが「正直、今は何も考えられません」と語り、ショックの大きさをうかがわせた。

 有村智恵(28)もご当地選手で、益城町の隣、嘉島町の実家で被災した。「ちょうどマッサージを受けていて…。揺れて、停電して、全然動けず『早くおさまって』とベッドにしがみついていました」。棚からものが落ち、家の中はグチャグチャ。割れたガラスの破片がちらばり、クツを履かないと家に入れない。週末、天気が下り坂になる予報があり「屋根が壊れた家がたくさんある。雨が降ると…とても心配です」と同じ被災者の胸中を思いやった。

 井芹美保子(30)は今年から熊本市内の実家を出て、最も被害の大きかった益城町で2階建てアパートの2階に部屋を借り、独り暮らしを始めていた。「揺れた方向が良かったんでしょうか、電気と水道はアウトになったけど、それ以外はさほど問題がない。益城町の一番被害のひどいエリアから、500メートルほどしか離れてないんですけど」。とはいえ、地震発生後はすぐさま熊本市内の実家に避難した。「実家の方も食器棚とかは無事でした」とホッとした様子だった。