渋野日向子の強さの秘密「自分を信じて人を信じる」

  • 2019年5月12日、ワールド・サロンパス・カップ 最終日 優勝した渋野日向子(右)は河本結(左)と菅沼菜々から水をかけられる
  • 2019年9月22日、デサントレディース東海クラシック最終日 練習グリーンでプレーオフに備える間に優勝が決まりキャディーと喜ぶ渋野日向子(撮影・森本幸一)

<ゴルフ十八景>

開幕戦から中止が相次ぐ女子ゴルフ界だが、今年の最大の注目は、昨年大活躍した渋野日向子(21=サントリー)。沖縄大でスポーツ心理学を研究するプロゴルファーの石原端子(まさこ)准教授(54)に、渋野の強さの秘密、その可能性を語ってもらった。【取材・構成=桝田朗】

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石原さんは、開幕戦のダイキン・オーキッド・レディース(沖縄)で渋野のプレーを見るのを楽しみにしていた。その前に見たのは昨年8月のAIG全英女子オープン。

「全英は何をやってもうまくいく、いわゆるゾーンに入っている状態。リラックスも緊張も、自分が自分らしくプレーできていた。なぜ優勝できたかというと、いろんなことが冷静にできたからだと思います」

その優勝で、今後につながる大きな収穫があったとみる。

「大舞台であの結果を得られたという経験は大きい。メジャーのあの状況の中でできた体験の強さ。渋野さんは、あのプレーに近いものを繰り返していけばいい。体験したことを追っていく。それができない可能性があるということを自分が分かっていればいい」

全英で勝ってからも、国内ツアーで優勝。終盤まで鈴木愛、申ジエと賞金女王を争った。予選落ちもあり、挫折と立ち直りを経験。そんな渋野の変化に、強さを見いだす。

「アスリートは成功体験を追い求めるもの。でも、うまくいかなくなった時にそれをどう修正するか。彼女には、陸上でトップアスリートの経験を持つ両親がいる。親はコーチと違って、強くなることだけをみているのではない。トップアスリートとして理想を追っていくけど、うまくいかなかったときの心のケアとか、彼女の性格とか、両親はそういうところをみて、適切なアドバイスをしていると思う。そういう環境はラッキーでしかないが、彼女の強さのパーツになっている」

渋野は青木翔コーチや、専属のキャディー、マネジメント会社と1つのチームとして勝利に向かうことを大切にする。

「渋野さんは人を信じることができる強さを持っている。信じることはとても大事で、まずは自分を信じて人を信じる。だからガンとへこんでも、もう1回上がっていけるという巻き返しにつながる。テレビなどでインタビューを聞いても、彼女には人を引きつける魅力もある。21歳という年齢で、これができるのはすごい。自分の表現の仕方を知っている」

石原さんは、今年は国内ツアーで渋野のプレーをじっくり見て、心理面であらためて分析することを楽しみにしている。

◆石原端子(いしはら・まさこ)1966年(昭41)1月13日、鳥取県東伯郡生まれ。由良育英高(現鳥取中央育英高)、鹿屋体育大では陸上の投てき種目で活躍。大卒後22歳でゴルフを始め、94年プロテスト合格。95年の下部ツアー、RNCレディース・ハリマカップ優勝。98年のフジサンケイ・レディースでツアー初優勝。賞金ランクはその年の41位が最高。大体大大学院から沖縄大で准教授。