パナソニックが劇的な逆転劇で、8年ぶり4度目の日本一に輝いた。4点を追う第4クオーター(Q)残り1分31秒、今季限りでの引退を決意しているエースQB高田鉄男(34)からのスペシャルプレーで、WR小山泰史(25)が逆転TDを奪った。守備では集大成として臨んだDL脇坂康生(46)を中心に奮闘。7年ぶりの優勝を狙った立命大を22-19で下した。社会人は7年連続の勝利で、MVPは1TDのRB横田惇(24)が選ばれた。
追い詰められたパナソニックが、最後の賭けに出た。4点差を追う第4Q残り1分31秒。自陣45ヤードからの第4ダウンギャンブルだ。ダウン更新には20ヤード必要な状況。後輩に苦しめられていた立命大出身のQB高田は、覚悟を決めた。「ここやろな、と思っていた」。
20ヤード近く前方へ、高速パスを投げ込んだ。WR本多がつかむと、走り込んできたWR小山にトス。「前が空いていたので、エンドゾーンまで持っていけると思った」と小山。ボールを抱え、そのまま左サイドを走りきった。鮮やかな逆転TDに、エースQBも両腕を突き上げた。
秘めていたスペシャルプレーだった。「長年温めていた」と荒木監督。練習後に何十回とやってきた大技を、引退を決意して臨んだ大一番、その土壇場で成功させた。高田は「5年くらいかな。遊び感覚でずっとやってきて、あんなにうまく決まるとは」と驚いた。
長い雌伏の時を経て、関西の名門はよみがえった。仕事の合間の練習や居残り特訓を、今季は各自が自覚を持って実行した。この日、チーム1位の105ヤードを走ったRBデュプリーら4人の新外国人も融合。チームをけん引したLB高山主将は「このチームで2月から日本一になると言ってきた。最後は勝利への執念が結果につながった」と胸を張った。
立命大時代に2度、パナソニックでも2度目のライスボウル制覇を手みやげに、エース高田は現役を退く覚悟だ。「結構疲れた。やりきった感じ」とさわやかに笑った。区切りの年を迎えたエースを中心に、チーム一丸でつかんだ4度目の日本一だった。【木村有三】
◆パナソニック・インパルス 74年に松下電工インパルスとして創部。90年に初の社会人王者となる。95年にはライスボウルを初制覇し初の日本一に。05、08年にも制覇し今回で4度目の優勝。08年からパナソニック電工、11年から現名称に変更。グラウンド所在地は大阪・門真市。
◆ライスボウル アメリカンフットボール日本選手権。第36回までは東西大学オールスター戦として開催。84年の第37回から社会人と学生の代表で真の日本一を争い、毎年1月3日に開かれる。15分4クオーター制で同点の場合は両チーム優勝。今回で社会人の21勝12敗。


