八王子実践(東京)が、2連覇を狙った金蘭会(大阪)に3-1で勝ち決勝に進出した。急成長した1年生エースの東谷玲衣奈がブロックと強打で大活躍。文京学院大女との東京対決を3-0で制した下北沢成徳と10日の決勝で対戦する。

 初めてのセンターコートでの試合で、1年生の東谷は存分に動き回った。第4セットの18-15から金蘭会・白沢(3年)の強烈なスパイクを、最高到達点297センチの跳躍で完璧にブロックする。東谷は興奮したのか、闘争心をむき出しに、白沢を凝視しながらガッツポーズを見せ、主審から落ち着くように注意を受けた。

 試合後は幼さが残る笑顔を振りまいた。「ブロックが好きです。明日の決勝でもたくさん決めたい」。両校最多の27点をアタックで奪い、ブロックも7得点。貫井監督は「この大会で覚醒した」と急成長に目を見張る。東谷も大舞台でのプレーを「楽しかった」と言い、メンタルの強さを感じさせた。

 そんな東谷が、相手チームの宮部に話題が及ぶと沈んだ目になった。「腰が大変だと聞いてました。(宮部に)負けたくない、という気持ちはないです。全日本にも入っているし、無理はしないでほしいと思いました」。同じアフリカ系の父を持つ境遇から比較されることも多く、意識しないはずはないが、故障に苦しむ1年先輩に配慮できる優しさをのぞかせた。

 「今は(身長)172センチです。3センチ伸びました」。伝統校の1年生エースが決勝でどれだけ飛躍するか。可能性大の逸材に本格開花する瞬間が目前に迫った。

 ◆東谷玲衣奈(とうこく・れいな)1999年(平11)4月28日、神奈川県座間市生まれ。ガーナ人の父と日本人の母を持つ。小学2年でバレーボールを始め、地元の「SAMURAI Legend タイガース」で頭角を現す。八王子実践中の3年時、全国都道府県対抗中学大会で優秀選手に選ばれる。身長172センチ。最高到達点は297センチ。好きな選手は日本代表アタッカーの江畑幸子。