ラグビー日本代表のSH田中史朗(31=パナソニック)が1日、都内書店で自著「負けるぐらいなら、嫌われる~ラグビー日本代表、小さきサムライの覚悟」(KKベストセラーズ、税別1400円)の出版記念イベントを行った。

 帝京大戦で右耳の鼓膜が破れたが、「坂手君にやられていたので、今度対戦した時は優しくしてあげたい」と笑顔を見せながら、パンチの効いたコメントで報道陣を笑わせた。

 本は昨年から書き続け、タイトルは日本代表でのチームメートだった畠山と一緒に考えた。「日本ラグビーのためには、嫌われても言うことを言わないと良くならない。そういう思いでイヤなことも言ってきました。確かに、周りが寄ってこないことはありますが、まるで嫌われていることはないと思います」と、自虐的なコメントを交えて、嫌われ役を務めてきた本音をのぞかせた。

 この日、ラグビー協会はジェイミー・ジョセフ新監督の新体制を発表したが、コーチ陣の人事は一切進展なし。田中は「協会には不信感があります。しっかりしてほしい。協会もレベルアップしてほしい」と、歯に衣(きぬ)着せずいつものスタイルで、本のタイトル通り、協会から嫌われることも厭わないストレートな発言だった。

 本の売り上げを基にラグビーボールを購入して、子どもたちに配る計画もある。「本は買わなくても、ラグビーを知ってもらえればいい。いや、買わなくていいって言ったらまずいですか。あっ、でも、買わなくてもいいんです」と、実直な性格らしく、ラグビー愛を前面に出したコメントに終始。

 スーパーラグビーハイランダーズへの参加のため、ニュージーランドへ出発する。「目標は出場50試合です。まずそこを達成すれば、子どもたちも見る夢が広がるはずです」と、明確な目標を口にした。