東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場(東京都新宿区)の年間維持費が約24億円と試算されていることが5日、分かった。設計、工事を担う大成建設、梓設計、隈研吾事務所のJVが試算したものを、事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)が公表した。

 24億円の内訳は50年間でかかる大規模修繕費を年ごとに割ったものに加え、警備・清掃・定期点検・植栽管理などの保全費、電気・ガス・上下水道などの光熱費などの年間費用を足した数字。旧計画のザハ案では約61億円だった。

 新計画の現試算にはザハ案で試算していた人件費や税金などは入っていないが、大幅に圧縮された。大型展示場やコンサート会場など多機能を盛り込んだ旧計画と違い、新計画は競技機能に絞り込んだため、コスト削減が見込めるようになった。

 また、本体工事にかかる約1490億円に含まれないシステムや備品などの別途設備費用を検討していることも報告した。Wi-Fiなどの通信システムや館内案内などのデジタルサイネージ、サッカーベンチやウエートトレーニング機器など。

 JSCによると本体工事費の10分の1が一般的だという。大学教授ら5人の委員が検討中だが、インターネットや通信技術が目まぐるしく進歩している観点から、その時点での最新技術を一気に投入するとすぐに時代遅れになる恐れもあり、慎重に議論しているという。

 JSCは4日に同JVと第2期の契約を締結。12月上旬には本体工事の着工ができる見通しとなった。