乾さんと中牧さんの演技は回転もそろっていましたし、高さもありました。テレビ観戦では、0・1334点差で敗れたウクライナより良かったと感じる人が多いかと思います。ただ、現場で見ていて感じたのは気迫と自信から生まれるオーラは、ウクライナの方が上ということでした。

 昨年12月から乾さん、中牧さん、中村さんと異例の3人態勢を組んだデュエット。大失敗した5月のジャパンオープンと比べれば格段の成長を見せましたが、急ピッチで仕上げた感じは否めません。自信とオーラが生まれるためには、常に練習から完璧に合わせ、1つになる必要があります。

 事前の格付けも大事になる競技。昨年のリオ五輪銅メダルのデュエットで、TRに続いてメダルを逃したことは3年後の東京五輪に向けて痛手であることは間違いありません。ただ、長身の乾さんと中牧さんの2人は見栄えがしますし、将来性も感じます。残り3年で磨き上げれば、必ずウクライナを上回ると信じています。(88年ソウル五輪ソロ、デュエット銅メダル)