リオデジャネイロ・パラリンピック柔道男子60キロ級(視覚障害)銀メダルで現役引退した広瀬誠さん(40=愛知県名古屋盲学校教)が柔術の日本代表を目指す意向を示した。

 17日、都内で行われた視覚障害者柔道体験教室に出席。先月、「全日本マスター柔術大会」の青帯64キロ級で優勝したことを明かし、「まだまだ力不足だけど日本代表を目指せる位置までいけたら。健常者の中で障がい者がここまで出来るということを証明したい」と話した。

 高1で柔道を始めた。2年の時に視覚神経が萎縮するレーベル病を発症し、視力が急激に低下。銀メダルを獲得した04年アテネ大会から4大会連続でパラリンピックに出場し、階級を66キロ級に上げた12年ロンドン大会でメダルを逃した。外国人選手対策として寝技強化のためにブラジリアン柔術を始めた。週2~3日、名古屋の道場へ通い、基礎を学んだ。初代PRIDEヘビー級王者のアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ(41=ブラジル)を尊敬し「技で勝つ姿に感動した。柔術の『技ってすごい』と思ったし、もっと早くに出会いたかった」と悔やんだ。

 昨年10月、「ただのオヤジになります」と言って現役引退した。その後も趣味で道場に通い、ひそかに技を磨いていた。ブラジリアン柔術は、柔道男子日本代表の井上康生監督らも取り入れている。広瀬さんは「パラ柔道でも柔術を取り入れた方が良いと思う。(パラ柔道の)現役選手を指導できるまで力をつけて、柔道と柔術で恩返しが出来たら最高。これからは『ただの強いオヤジを目指します』」と新たな夢を語った。