五輪の基幹競技と言える陸上でまたも強化責任者が交代した。

 伊東浩司強化委員長のもとで初めて臨んだ今夏の世界選手権では、男子短距離や競歩で好結果を残した。9月には男子100メートルで「10秒の壁」がついに破られ、競技の枠を超えて沸いたばかり。そんなタイミングでの辞任に、現場からは懸念や疑問の声が上がった。

 2020年東京五輪を見据えて起用された伊東氏。理由に挙げた学校業務との両立は当然、想定内だったはずで、強化委メンバーの一人は「何で今なのか。リーダーが代わって(方向性が)どうなるのか」と不安を口にした。人間関係のトラブルがあったのではとみる向きもある。非公開で行われた19日の理事への説明でも「(理由は)他にあるのではないか」などと問う声が複数出たが、押し切られた。日本陸上競技連盟の執行部から、健康状態を理由として聞かされた関係者もいるという。

 伊東氏は14年秋に陸連の男子短距離部長を退任し、約1年後に強化副委員長として復帰。一度離れた人材をすぐに呼び戻すことに反対の声もあった。結果的に、また短期間で体制変更が必要となった。伊東氏個人の問題だけでなく、組織としての人選や運営も当然、問題視される。尾県専務理事は「任命責任は理事会にある。私としても力不足だと感じている」と釈明した。