14歳の張本智和(エリートアカデミー)が、20年東京オリンピック(五輪)の金メダルに近づく大金星を挙げた。1次リーグ第2戦で世界ランキング1位の樊振東(はん・しんとう、21=中国)を3-1と破った。1月に全日本選手権を史上最年少で制した後、思うような結果が出せなかった時期もあったが、その苦しみを拭い去る大勝利となった。張本は1次リーグを3戦全勝で今日7日の準々決勝に駒を進めた。女子の石川佳純(25=全農)も全勝し、準々決勝進出を決めた。

 バックで相手のフォアに鋭くウイニングショットを決めると、張本は両手を高く上げて頭を抱えた。「信じられない。何も考えられない」。憧れの選手から奪った大金星に、興奮を抑えられなかった。第1ゲームから得意のバックがさえ、会場には「チョレイ!」が幾度となく響き渡った。

 張本にとって、樊振東は憧れ。「水谷さんと樊振東さんがずっと憧れだった。まさかこんなに早く倒せる日が来るとは…」。14歳はうれしさを爆発させつつ「目標がなくなったわけではなくて常に勝ち続けられるように強くなる」と頼もしい。シニアでは中国選手に初勝利となり「東京五輪で金メダルを取れる自信が少しついてきた」とうなずく。

 最年少で優勝した1月の全日本選手権の後は結果が出ずに悩んだ。3月のカタール・オープン準々決勝で敗れた直後のこと、全日本選手権決勝で試合終了のあいさつ前にベンチへと走った行動を問題視する記事をスマートフォンで目にし、うずくまって落ち込んだ。続くドイツ・オープンも決勝トーナメント1回戦敗退。活躍すればするほど攻略され、今まで通りのプレーは通用しない。もどかしさが募り、心が苦しかった。

 「樊振東さんに勝ったことで、その苦しみも乗り越えたことにしました」。張本はすがすがしい表情だった。4歳で試合に出始め、負けると何度も悔し涙を流した。母凌さんは「卓球でお父さんにも勝ちたいし、とにかく負けず嫌いの性格。勝ちたい気持ちが誰よりも強い。気持ちが強いからこそ、世界1位でも関係なく力を出せたんじゃないかな」と息子を誇った。

 とにかく卓球が大好きな14歳。男子代表の倉嶋監督が「世界一」と評するバック、そして自信を胸に、東京五輪に向かってその速度を緩めない。【戸田月菜】