フィギュアスケート男子で冬季五輪2連覇を成し遂げた羽生結弦(23=ANA)の国民栄誉賞授与式が2日、官邸で行われた。表彰状などが贈られ、個人としては最年少の受賞で、スケート界からは初めて。苦難を乗り越えての偉業で国民に感動や勇気を与えたことが評価された。

 仙台伝統の織物のはかま姿で出席した羽生は、安倍晋三首相から表彰状などを手渡された。安倍首相は「大変、国民の期待が高い。さらに頑張っていただきたい」と話した。羽生は「(世界初の4回転半ジャンプ成功など)達成したいことがいろいろある。それを優先して、自分の体を磨きつつ頑張っていきたい」と答えた。

 羽生は14年ソチ五輪(オリンピック)で、フィギュア日本男子初の金メダルを獲得。昨年11月の右足首の負傷を乗り越え、平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)では2月17日のフリーで4度の4回転ジャンプを跳ぶ渾身(こんしん)の演技を披露し、日本勢の大会金メダル第1号となった。海外メディアからも大きな称賛を浴びた。

 4歳でスケートを始め、11年に地元・仙台市のリンクで練習中に東日本大震災が発生。避難生活を余儀なくされた経験もある。

 五輪の金メダリストではレスリング女子の吉田沙保里、伊調馨、柔道の山下泰裕、女子マラソンの高橋尚子両氏に授与されている。

 国民栄誉賞は1977年に創設。スポーツや芸能、文化などの分野で功績を上げた26の個人・団体が受賞している。2月13日には将棋界史上初の「永世七冠」を成し遂げた羽生善治、囲碁で初めて七冠独占を2度果たした井山裕太に贈られた。羽生は27例目の受賞で、冬季五輪金メダリストとしては初めて。