テニスの4大大会、全仏オープンが26日にパリで開幕する。クレー(土)コート最高峰の舞台で、世界トップのプレーが繰り広げられる。最終回は「優勝争いと、日本の両エースの戦いぶり」だ。

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昨年の覇者は男子がナダル(スペイン)が11度目、女子がハレプ(ルーマニア)の初優勝だった。ナダルは、今年、12度目の優勝に挑むが、これは4大大会1大会で、男女を通じて単独最多優勝回数となる。11度は、全豪の女子のコート(オーストラリア)と並んでいた。

今年、全仏前に、ナダルが出場した赤土の大会は4大会。最初の3大会でベスト4。最後のイタリア国際で、ようやく優勝を果たした。生涯9割以上の勝率を誇る赤土で、少し物足りない結果だ。しかし、全仏本番では、過去14大会に出場し、86勝2敗、棄権1という驚異的な勝率を誇る。今大会も絶対的な優勝候補だ。

対するのは、復活なった王者ジョコビッチ(セルビア)だ。全仏優勝は16年が最後で、17、18年はベスト8止まり。しかし、前哨戦で赤土のマドリードオープンでは、しっかりとタイトルを奪取し、存在感を示した。もしナダルとジョコビッチが決勝で対戦すると、4大大会決勝で戦うのは9度目。フェデラー(スイス)-ナダルの組み合わせとともに、4大大会最多と決勝の顔ぶれとなる。

その中で、錦織圭(29=日清食品)は、どこまで上位に食い込めるか。組み合わせでは、タフな相手がいるとはいえ、決して悪くはない。2回戦で予想されるツォンガ(フランス)、4回戦のメドベージェフ(ロシア)は苦杯を喫した経験がある相手だが、もちろん十分に勝てる相手だ。まずは17年以来2年ぶりの8強入りを目指し、準々決勝でナダルにすべてをぶつけたい。

そして、今大会最大の注目は、女子で世界1位の大坂なおみ(21=日清食品)が、18年全米、19年全豪に続く4大大会3大会連続優勝を成し遂げるかどうかだ。クレーは「ジュニアの時に、米国で緑のクレーでプレーしたが、プロになるまで、ほとんど経験がない」。最も苦手とするコートで、足を滑らせる独特のフットワークに当初を戸惑ったが、「今年はなれてきて、とても楽しい」と自信を深める。

何よりも、4大大会に対する大坂の集中力だ。他の大会とは比較にならない集中力を発揮。普段からはとても想像できないプレーが生まれ、強打での破壊力は抜群だ。さすがにクレーでは無理だろうと誰もが考える予想を大きく覆すのが、大坂の魅力だ。

最大のライバルは、昨年優勝のハレプだ。クレーでの安定感は、間違いなくハレプに分がある。それを、ミスなく、大坂が持つパワーで押しきれるか。過去5度対戦しているが、最初に対戦した16年全仏3回戦が、最も思い出の深い全仏の試合となっている。そのハレプとは、順当に行けば準決勝で対戦する。