世界中の人たちが、新型コロナウイルスの感染拡大に悩まされている。新連載「ウイルスと闘う世界の国から」では、主な国の生活やスポーツなどの事情を、現地で暮らす人たちの目線で紹介する。1回目は、感染者が1万人を超えたスペイン。

スペインでは、3月3日に150人だった新型コロナウイルス感染者が18日には1万3716人(死亡598人)に達し、国内ではマドリード州の感染者が最も多く5637人にまで達しました。

14日にスペイン政府が非常事態宣言を発令し、15日間、薬局やスーパー、新聞スタンドなど生活に最低限必要となる店舗以外はすべて閉鎖され、仕事や生活必需品の買い物、病院など一部例外を除く外出制限の措置により、街中はゴーストタウンと化しています。

欧州のラテン民族の国々(スペイン、イタリアなど)で感染者の増加が止まらない原因の1つに、ハグや「ベシート(両ほおでするキスのあいさつ)」など、他国に比べ人と人の距離感が近いことが挙げられると思います。

新型コロナウイルスはサッカーを含むすべてのスポーツにも多大な影響を与えています。スペインサッカー連盟はリーグ戦の延期期間中、チームでの練習を控え、個人トレーニングの実施を勧める通達を1部と2部の全42クラブに送り、バルセロナなど多くのクラブは無期限で活動停止を決定し、自宅でトレーニングを行っています。プロからアマチュアまで全活動が中止され、市民にとっての大きな娯楽が失われました。

食料の買い出しで街中に出ると、多数の警察官が頻繁に巡回し、どんな用事でどこに行くかを質問されました。人によっては身分証の提示を求められ、「自宅待機」を促され、不用意に出歩く人には罰金が科せられています。また近所のスーパーは入場を制限し、2メートル間隔で順番を待たせ、アルコール消毒し手袋を配布する徹底ぶりです。

政府は「物資は豊富にあるためパニックにならないように」と伝えていますが、非常事態宣言直後はトイレットペーパー、小麦、米、パスタ、缶詰などの品不足が続きました。しかし、それから5日たつ現在は徐々に落ち着きを見せ始めています。

この事態の中、最前線で闘う医療従事者たちに感謝を伝えるために、スペイン中で決まった時間に窓を開けて拍手を送り、スポーツ選手や有名人がSNSで「#私は家にいる」を発信し、この状況を皆で乗り切ろうという大きな流れが起こっています。

マドリード生活は10年以上になる私にとっても初めて経験する非常事態ですが、早く街に活気が戻り、バル(酒場)やスタジアムでサッカー観戦できる日常が戻ることを切に願っています。(高橋智行通信員)