白血病から復帰を目指す競泳女子の池江璃花子(19=ルネサンス)が、日本学生選手権(10月2~4日、東京辰巳国際水泳場)でのレース復帰を目標に掲げた。

2日、都内で練習を公開。約2時間の水中練習を行った。24年パリ五輪を大目標に掲げる池江は「今の目標はインカレ(日本学生選手権)と思っている。(コロナ禍で)インカレがあるか、わからないけど、あることを信じて」。出場すれば、昨年2月の白血病公表前の、同1月三菱養和スプリント以来1年9カ月ぶりのレースとなる。

この日の練習では6月に新体制となった西崎勇コーチのもと、同じ所属の持田早智(20)山本茉由佳(20)とグループで練習した。短距離のメニューを中心に合計3000メートル以上を泳いだ。池江の状態を見た西崎コーチが2度、泳ぐ本数を抜く場面があった。池江は「練習の強度は皆と同じぐらいですが、無理しすぎちゃうタイプなので」。西崎コーチも「今は健康な状態を1年間キープすること。池江の状態を見て、無理はさせない。負荷はかかりすぎないが、昨日の自分よりも少し成長したいね、といっています」。現在は週4回の水中練習、週1回の筋力強化を行っている。

池江は「皆と泳ぎはじめるとついていけず、ついていけなかった自分が悔しかった。今はついていけるようになり、日に日に力がついているなと思う」。この日は持田、山本に先行するシーンもあった。「泳力としては自分の中学1、2年ぐらい。日本記録まではいかないけど、早く高校生ぐらいまで戻せたらいいなと思う」と笑顔で話した。

日本学生選手権について、日本水連関係者は「インカレは中止にはなっていないです。(開催を前提に)今、検討しているところ」とした。競泳の大会は出場資格として、一定基準の持ちタイムが必要になるが、今年は新型コロナウイルス感染拡大に伴って、全国で軒並み大会が中止になっている。同関係者は「出場資格も今までのやり方ではできないという話になっている。大会がなかったので。それも含めて検討中です」。もちろんコロナ禍を見極めて、安全が第一になる。

池江は、1年延期となった東京五輪について「自分は出ないという気持ちでみていたが、アスリート仲間のことを考えると心が痛い。4年に1度のモチベーションを保つのが大変だと思う。それを思うとつらかった」と話した。東京五輪、世界選手権福岡大会がともに1年延期となっているが「(大会が)1年伸びて期待されることもあるが、あくまでも24年(パリ五輪)。21年にとらわれず、24年に向けて、土台をしっかりやっていければ」と口にした。【益田一弘】

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池江の経過メモ

◆19年2月4日 オーストラリア合宿中に疲労が抜けず現地で検査を受ける。

◆同8日 緊急帰国。白血病と診断されて入院。

◆同12日 自身のツイッターで白血病を公表。「私自身いまだに信じられず、混乱している状況です」。

◆同3月6日 ツイッターで「思ってたより、数十倍、数百倍、数千倍しんどいです」とつづる。

◆同4月8日 日大入学と同水泳部入部を発表。

◆同5月8日 公式HPを開設して「最後まで頑張りたい、負けたくないという気持ち」と記す。

◆同9月6日 日本学生選手権を会場で3日連続の応援。男子総合優勝に「とてもうれしかったです」。

◆同12月17日 公式HPで退院を発表。今後の目標に「2024年のパリ五輪出場、メダル獲得という目標で頑張っていきたい」。

◆20年3月17日 406日ぶりのプールに入ったことをSNSで報告。「言葉に表せないぐらいうれしくて、気持ち良くて幸せ」。

◆同5月18日 短髪を初披露し「今のありのままの自分を見てもらいたい」。

◆同6月16日 所属先ルネサンスの西崎勇氏をコーチに迎える新体制を発表。

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◆池江璃花子(いけえ・りかこ)2000年(平12)7月4日、東京都生まれ。15年世界選手権で中学生として14年ぶりに代表入り。得意は100メートルバタフライで自己ベスト56秒08。16年リオデジャネイロ五輪5位、18年パンパシフィック選手権で主要国際大会初優勝。同年ジャカルタ・アジア大会で日本勢最多6冠で大会MVP。昨年2月に白血病を公表し入院。同12月に退院。171センチ、60キロ。