高校生ハンドボール選手と大学をつなぐトライアウトが10日、東京・墨田区総合体育館で行われた。日本リーグチームのジークスター東京が企画したもので、全国から男子選手19人と関東リーグ所属の13大学が参加。新型コロナ禍でアピールの機会を失った高校生たちが、大学進学を目指して自らを売り込んだ。

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体育館に響き渡るボールの音と選手の声、真剣に見つめる大学関係者、感染対策に細心の注意を払いながら、高校生と大学の「マッチング」が行われた。「ハンドボールを止めるな、ということ。目標を失った高校生たちに何かできないかと企画しました」。ジークスター東京の大賀智也社長は初の試みを説明した。

春の高校選抜に続き、高校総体も中止。大学進学を目指す高校生は、アピールの場を失った。鹿児島から参加した矢口愛斗(国分中央高)は「目標にしていた地元国体がなくなって、困っていた」と、チャンスができたことを喜んだ。

高体連の登録選手数約4万3000人、五輪競技の中では8番目に多い。サッカーやバスケットボール、バレーボールなどは正月に大会があるが、ハンドボールは総体が最後。明大の加藤良典監督は「大学でハンドボールを続けたい高校生にとって、いい企画だと思う」と意義を強調した。

チーム単位でトライアウトを行う例はあるが、全国の高校生と大学の「マッチング」は珍しい。ただ、今季日本リーグ新加入のジークスター東京にとっては認知度を上げる機会。「チームを知ってもらう意味もある」と大賀社長は話した。

埼玉・鴻巣高入学後に競技を始めた川辺歩夢は、豪快なシュートで関係者から高評価を受けた。「弱い高校だけど、こういう機会があってうれしい」。未知の能力が発掘されるのも、トライアウトの魅力。新型コロナの影響での企画だが、来年以降も続ける可能性もあるという。【荻島弘一】