ボクシングの元世界3階級制覇王者で、先月現役を引退した八重樫東(あきら)氏(37)が26日、静岡県磐田市のラグビートップリーグ・ヤマハ発動機をサプライズ訪問した。今季第2段階のタフな練習に入るチームのコーチ陣要請に応えて実現した。

冒頭で30分ほど講演。15年の現役生活で、少しずつ恐怖心をコントロールできるようになったことなどを振り返った。対戦カードが決まると、試合の2~3カ月前から心や体をつくっていき、「1日1日を悔いのないように過ごした」。その言葉に堀川隆延監督(47)は「世界を取るために準備してきたプロセスは、我々と同じ。しんどい局面でいかに1歩前へ出られるかなど、八重樫さんの姿勢は非常に勉強になった。あとは1人1人がどう受け止め、フィードバックするか」と話し、選手らの今後に期待した。

チーム練習に移ると、八重樫氏は、ボクシングの基本的な構えやフットワーク、パンチを選手らに伝授。1セット3分のトレーニングを繰り返し、動きの鈍くなった選手には「動いて。止まらない」とゲキを飛ばした。初めてサンドバッグ打ちを体験した元日本代表FB五郎丸歩(34)は「3分間やり続けるのはきつかった。八重樫さんが来てくれたのはいい刺激になり、明日(27日)もあるのでいろいろ吸収したい」と意欲的だった。【倉橋徹也】