“圧力鍋ホットライン”のお披露目だ。ラグビーのトップチャレンジリーグ(TCL)は13日に各地で開幕し、前回優勝の近鉄は翌14日に大阪・花園ラグビー場で清水建設と戦う。12日は同ラグビー場内の練習場で調整。立命大出身のルーキーWTB片岡涼亮(23)が、先発デビューを待ちわびた。

先発15人中、外国出身選手が9人。有水剛志ヘッドコーチが「現状のベストメンバー」と言い切った人選に、新人が食い込んだ。左WTBで初陣に臨む片岡は、堂々とした口調で「伝統あるチームのファーストジャージーを着られて、うれしい気持ちです。ガッツあるプレーをしたい。全ての局面で思い切りのあるプレーを見せたい」と誓った。

171センチ、83キロ。決して大きいとは言えない男は中学まで大阪で過ごし、流通経大柏高(千葉)、立命大を経て、昨春に社員選手として入団した。

トップリーグ(TL)2部相当のTCLだが、清水建設戦の先発SHはオーストラリア代表110キャップのウィル・ゲニア、SOは同代表70キャップのクエイド・クーパーが務める。片岡は声を弾ませた。

「クエイドのことは『パパ』って呼んでいます。向こうは(英語で)『息子』と言ってくれている。優しいんです。『炊飯器がない』という話をしていたら(圧力鍋を)くれました」

中学でラグビーを始めてから動画で見てきたスター相手でも、物おじしない。

「どうせやるなら。物おじしていてもミスになる」

昨年9月、日本で過ごす2季目に向けて合流したクーパーに厳しく諭された。

「練習やから、放れ!」

片岡は微妙な間合いでボールを持ち、パスをせずに目の前の相手に当たった。

「50:50だったので、僕の感覚ではミスをするよりもキャリー(ボールを運ぶ)という判断でした。一緒にやることで、1つ1つの判断の幅が増える。攻撃の時もいつもと違う位置に立ったり、少しずつレベルアップしています」

そんな“息子”の姿をクーパーは、こうたたえた。

「やるべきことに対して100%で取り組み、ハードワークをするいい選手。フィールド内外での意識が高いと思います」

スターは笑って続けた。

「圧力鍋の写真を見せたら『いる!』って言うから、あげました。今は(新型コロナウイルス対策で)難しいけれど、今後は一緒にごはんも食べたいと思っています」

今季のTCLは上位4チームが、TL16チームとのプレーオフトーナメント(4月17日開始)に進む。目標は「トップ8」。達成するには、TL相手の2勝が求められる。まずはTCL2連覇を目指し、新しい風を吹き込む。【松本航】