男子テニスで世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ(34=セルビア)が、新型コロナウイルスのワクチンの感染予防薬開発を手がけるデンマークのバイオテクノロジー企業を買収していたことが19日、明らかになった。ロイター通信などが報じた。

複数のメディアによると、ジョコビッチは新型コロナの感染を防ぐペプチドを開発する企業QuantBioRes(クオンツバイオレス)の株式を妻とともに80%保有。同社のロンチャレビッチCEOは、ジョコビッチが大株主であることは認めているが、投資金額は明らかにしていない。

同社はデンマークのほか、オーストラリアやスロべニアに約11人の研究者がおり、ワクチンではなく治療薬の開発に取り組んでいるという。今夏にも英国で臨床試験を開始する予定だと同CEOは明かしている。

ジョコビッチは、米経済誌フォーブスが発表した昨年のアスリート長者番付でトップ50に入っている。広告収入などテニス以外の収入が3000万ドル(約33億円)で、テニスによる収入の450万ドル(約4億9500万円)を大きく上回っている。

新型コロナウイルスのワクチン接種を拒むジョコビッチは、3連覇中だった全豪オープン出場のため1月上旬にオーストラリア入りしたものの、ワクチン免除を巡る法廷闘争の末にビザが取り消されて国外退去処分となり、大会を欠場した。過去に新型コロナを軽視するような言動でも批判を浴びており、スポンサーの大手アパレルのラコステが今回の騒動について説明を求めていると報じられている。今後スポンサー契約を打ち切られる可能性が浮上しているばかりか、本業のテニスでもワクチン未接種のままでは残る4大大会の全仏オープン、全米オープン、ウィンブルドン選手権に出場できない可能性も取りざたされている。