バスケットボールBリーグ1部(B1)千葉Jに加入した日本代表の渡辺雄太(29)が27日、都内で入団記者会見に臨んだ。米NBAグリズリーズから、争奪戦での移籍の理由に挙げたのは「メンタル」。NBA6季目だった昨季後半に不調を経験し、千葉のサポート提案が決め手となった。契約は1年4億円程度の複数年とみられる。チーム、リーグ全体へのカンフル剤となる誓いも立てた。

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冒頭のあいさつだった。マイクを握った黒いジャケット姿の渡辺は真っすぐに前を見つめ、自ら言及した。「僕がバスケットを十分楽しめる環境を、まず作ってあげたいと。そこはとにかく強調して言ってくださったのが、千葉ジェッツだけだった。何より一番大きな理由になった」。20チーム以上が興味を示した末の、Bリーグ史上最大の移籍劇。楽しさという精神面こそが、決着に導いた。

日本人最長となるNBAで6季を過ごした。「日本に帰ってくる一番大きな理由として、やはりメンタル的な問題があった」と明かす。異変はシーズン終盤。激しいレギュラー争いを続ける中で、「20代はどんな理不尽な事も逃げない」と戦ってきたが、2月に古巣グリズリーズに移籍し、予期せぬ先発落ちに心が砕けた。「30代はバスケを楽しめる場所で」と日本へ帰る決意をすると、その後の試合でコートに立った瞬間、経験したことのない倦怠(けんたい)感に襲われた。

専門家による治療を受け、公表もした。「当事者になってみて初めて、つらさやしんどさを感じることができた」。スポーツ界での課題となるメンタルヘルスの問題を直視した。その最中、千葉Jも向き合ってくれた。池内GMは「サバイバルをやっている中で、米国ではできないとなったのは相当なダメージを受けたんだろうなと。彼が大好きなバスケットを何のストレスなく打ち込める環境を作る」と約束してくれた。

もちろん、「楽しむ」は全力を尽くす上で。20~21年Bリーグ王者で、天皇杯全日本選手権を5度制した強豪で、「優勝を目指す」と力を込める。10月には30歳を迎える。「リーグとしてNBAに次ぐリーグをつくりたいというのは素晴らしい目標。やるからには高い目標を持ってやるのは僕の選手としてのポリシーでもある。プレーで盛り上げなきゃいけない」。新たなバスケット人生に志を立てた。【阿部健吾】

◆渡辺雄太(わたなべ・ゆうた)1994年(平6)10月13日、横浜市生まれ、香川県三木町出身。香川・尽誠学園高では全国高校選抜優勝大会(現・全国高校選手権)で2年連続準優勝。米ジョージワシントン大卒業後にNBAグリズリーズとツーウエー契約を交わし、18年10月NBAデビュー。ラプターズ、ネッツを経て、23-24年はサンズとグリズリーズでプレー。16歳だった11年4月に日本代表に初選出され、19年中国W杯、21年東京五輪、23年沖縄W杯、今年のパリ五輪などに出場。