“怪力聖子ちゃん”がロスへの道を切り開く。渡辺聖子(警視庁)が体重無差別で争う皇后杯に臨み、初出場ながら優勝。決勝では100キロの米川明穂に3-0で判定勝ちした。63キロ級選手の日本一は、平成以降では史上最軽量。高重量の165キロのスクワットなどをこなす力自慢の26歳が、28年ロサンゼルス五輪の代表争いへ向けてアピールに成功した。
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「聖子ちゃん」が愛称の渡辺は、100キロの相手にも怯まなかった。「前に、前にと攻めれば勝てると思った」。決勝でも普段の63キロ級と同じように機敏に仕掛け、35キロ以上も重い米川を翻弄(ほんろう)した。3-0で判定勝ち。平成以降では史上最軽量で日本一となった。「何が何でも優勝しようと思っていた」。うれし涙があふれた。
身長168センチのスラリとした体には、底知れぬパワーが宿る。「力には自信がある」。スクワットの重さは、自身の体重の3倍近い165キロ。懸垂では25キロのおもりをぶら下げ、「一番苦手」のベンチプレスでも85キロを持ち上げる。「体重は関係ない」。自慢の怪力が、初舞台で発揮された。
ただ、パワーだけが勝因ではない。「悔しさがあったから優勝できた」。昨年11月の講道館杯は3回戦敗退。全日本柔道連盟の強化選手から外れ、今月上旬の全日本選抜体重別選手権の出場権も逃した。下を向きかけたが「私もそんなに差はないはず。諦めたらダメ」と言い聞かせた。2月の全日本シニア選手権を制し、今大会も「優勝してアピールしたい」と5連勝で頂点へ。体だけでなく、心もたくましくなった。
夢は2年後のロサンゼルス五輪出場。同じ階級には10月の世界選手権代表の嘉重春樺がいるため、渡辺は11月の講道館杯を制した上で、12月のグランドスラム(GS)東京で嘉重との直接対決に持ち込みたい。道のりは険しいが「ロサンゼルス五輪を諦めていない。GSで嘉重さんを倒したい」と気合十分。心身ともに屈強な「聖子ちゃん」には、初五輪への道を切り開く覚悟がある。【藤塚大輔】
◆渡辺聖子(わたなべ・せいこ)1999年(平11)7月29日生まれ、福島・会津若松市出身。1歳で神奈川・平塚市へ引っ越し、3歳で競技開始。横須賀学院高-帝京大。25年全日本選抜体重別選手権3位。5人兄弟の4番目で三女。得意技は大外刈り。趣味はダンス、旅行。血液型O。


