【ナント(フランス)7日=松本航】

日本ラグビー運命の一戦がやってくる。W杯フランス大会で日本代表(世界ランク12位)は8日、アルゼンチン(同9位)との1次リーグ最終戦に臨む。

勝利または日本のみが4トライ以上した引き分けの場合、2大会連続8強。過去2大会で主将を務め、10月7日で35歳となったフランカーのリーチ・マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)が歴史をつくる覚悟を示した。会場となるナントの近郊で最終調整を終え、過去1勝5敗の難敵との決戦に向かう。

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フランス西部ナント近郊の空は、2日続けて雲ひとつなかった。気温20度。練習前に地元の子どもたちとふれ合い、半袖姿のリーチもリラックスした表情を見せた。青々とした芝の上で円陣を組み、過度な緊張感はなく最終調整を終えた。08年11月の代表初キャップから、まもなく15年。現メンバーで最も代表を知る男は、自身84試合目となる大一番へ言い切った。

「日本ラグビーにとって、すごく大事な試合になる。海外で(初めての8強)のチャンス。新しい歴史になる。すごく楽しみです」

15歳で札幌山の手高に進学し、日本との縁が始まった。東海大2年の20歳で初キャップ。11年に母国ニュージーランドのW杯に初出場したが、1分け3敗だった。当時日本は通算1勝2分け21敗。主将として挑んだ15年イングランド大会で南アフリカから歴史的初勝利を挙げ、歴史を変えた。

「弱い時から、強くなった日本代表を経験してきた。そこからどんどん新しい歴史をつくってきて、明日はまた同じチャンスが来た。15年はベスト8に行けなかった。この試合の経験が次の代表につながる。ものすごく大きなターニングポイントになると思います」

35歳になった。前回大会からの4年で、股関節など6カ所にメスを入れ、年齢とも戦ってきた。自身のプレーに集中する目的もあり、現在は主将のNO8姫野を陰で支える。サモア戦は両チーム最多18本のタックル。かねて「キャプテンだろうが、なかろうが、望むことは一緒。『日本ラグビーは世界一、素晴らしい』と伝えたい」と誓ってきた。この日、仲間を見渡して「自信にあふれている。選手の中でも勘違いしていない。アルゼンチンをリスペクトして、何をしないといけないかが、分かっている」と感じ取った。

キックオフは日本時間午後8時。現地だけでなく、日本からも多くのファン、未来を背負う子どもたちの声援が届くだろう。防御のミーティングではプロップ稲垣から「刀を抜いた時はやるか、やられるか。そこでしっかり刀を振って、相手を倒しにいきましょう」と侍に例えて共有された。昨年にニュージーランド、イングランドにも勝利してきたアルゼンチン。百戦錬磨のリーチの心も同じだ。

「相手攻撃に対し、自分たちが前に仕掛けないと負けるのは分かっている。やられる前にやるしかない」

敗れればジョセフ・ヘッドコーチ率いる現体制は解散。絆を頼りに、勇気を持ち、日本を8強へと導く。

◆リーチのW杯4大会VTR

◇11年ニュージーランド大会 カーワン・ヘッドコーチ(HC)に率いられ、フランスに21-47、ニュージーランドに7-83、トンガに18-31と3連敗、カナダと23-23で引き分けた。自身は全4試合フル出場。トンガ戦で1トライ記録。

◇15年イングランド大会 ジョーンズHCに率いられ、主将として全4試合フル出場。初戦で当時過去2度優勝の南アフリカに34-32と後半ロスタイム逆転勝ち。最終盤に同点狙いのPGではなく、スクラムを選び、世紀の番狂わせに導いた。中3日のスコットランド戦は10-45で完敗。サモアを26-5、米国を28-18で退け3勝1敗。勝ち点差で南アフリカ、スコットランドに及ばず3位となり、史上初めて3勝しながら1次リーグ敗退。自身は南アフリカ戦で1トライ記録。

◇19年日本大会 ジョセフHCのもと開幕戦でロシアに30-10で快勝すると、大会直前まで世界ランキング首位だったアイルランドに19-12の金星。続くサモアに38-19、最終戦でスコットランドに28-21と勝利し、初の4戦全勝とベスト8進出を決めた。準々決勝では南アフリカに3-26で完敗。リーチは主将として全5試合に出場(1試合は途中出場)した。

◇23年フランス大会 初戦でチリ相手に1トライし、チームも42-12と圧勝した。続くイングランド戦でW杯出場15試合目となり、トンプソン・ルークの14試合を抜いて日本代表最多。試合は12-34と敗れた。第3戦のサモア戦でも1トライし、28-22と勝利した。ここまで全3試合に出場。

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