世界選手権3連覇中のネーサン・チェン(米国)が111・71点の自己ベストをたたきだし、首位となった。

冒頭の4回転フリップ、中盤のトリプルアクセル(3回転半)、後半の4回転ルッツ-3回転トーループを決めきった。演技後も引き締まった表情が印象的だった。「気持ちは良いですね。いまはとても幸せです」と演技後に語った。

「ラ・ボエーム」は2季前にも使用した楽曲で、当時の19年GPファイナルで110・38点の自己ベストをマークしていた。この日、その記録を塗り替えた。羽生結弦が持つ世界歴代最高点の111・82点にも0・11差に肉薄した。

4年前の悪夢を1つ乗り越えた。18年平昌五輪では団体戦のSPでは4位、個人戦では17位と沈んだ。「あの過ちから学びました。あれがなければいまここにはいないと思ってます」と振り返った。

先月28日に北京入りしてからは、会場で精力的に練習に励んだ。「また五輪の舞台に来られて幸せ。興奮している」と述べていた。母は北京出身で、父も同地に長く住んでから渡米した経緯がある。米国で生を受けたが、「10歳の時に来た記憶があるよ。北京動物園に行ったんだ」。会場の首都体育館のすぐ近くで動物を見た記憶は鮮明だ。

試合が近づくにつれ、3連覇を狙う羽生結弦について聞かれることも増えた。その都度、丁寧に説明した。「僕はライバル関係とは言えない。彼はいつもフィギュアスケート界の象徴的な存在で、このスポーツを前進させてきた。一緒に滑る機会があるのは、本当に素晴らしいこと」。敬意とともに、大会に挑む気持ちを語っていた。

日本勢最大のライバルは、好気配で8日のSPから始まる個人戦に向かう。