女子ショートプログラム(SP)が行われ、ロシア・オリンピック委員会(ROC)として出場の、15歳、カミラ・ワリエワが衝撃の五輪デビューを飾った。

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3つのジャンプを決め、スピン、ステップでもハイレベルを見せつけ、90・18点。1月の欧州選手権で記録した90・45点の世界最高点に迫る演技をみせた。

冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)は両手を挙げる難しい体勢から決めた。3回転フリップ、後半のルッツートーループの3回転も難なく成功させた。確かなバレエ技術に裏付けられた足先、指先まで神経が行き届いた身のこなし。そこにジャンプの回転軸の細さが高難度技術を可能にしていく。

世界的コーチ、エテリ・トゥトベリゼ氏の最高傑作とされる。18年から指導を仰ぎ、ジュニア世代からトップに君臨してきた。通称「エテリ組」の先輩には4年前、同じく15歳で平昌五輪を制したザギトワがいる。今回は報道の仕事で会場を訪れていた偉大な先輩からも、練習日にエールを送られた。

披露したSP「In Memoriam」は、亡くなった祖母にささげるプログラム。「滑っている時はチョウをずっと追っています」と物語を説明する。「チョウは夢だと考えてて、求めて、逆に呼ばれている感じ。最後にはチョウを捕まえて、夢がかなうんです」。フィニッシュポーズでつかむもの、夢とは五輪の頂点だろう。

金メダルの最有力候補として臨む15日からの個人戦では、さらに世界を驚かせる。

◆カミラ・ワリエワ 2006年4月26日、ロシア・カザン生まれ。3歳になった09年に競技をはじめ、同国のノービス選手権で優勝。ジュニアのGPファイナルと世界選手権2冠もジュニア1年目の快挙だった。高校1年。趣味はダンスと絵画。身長はこの1年で5センチ伸びて160センチ。