全日本選手3位で京都両洋高2年の河辺愛菜(17=木下アカデミー)が五輪デビューを飾った。62・69点で15位だった。

「いってらっしゃい」の声に押されてリンク中央へ。冒頭のトリプルアクセル(3回転半)は転倒。それでもルッツからの連続3回転ジャンプをきれいに着氷し、3回転フリップも成功した。レイバックスピン、コンビネーションスピンでは最高難度のレベル4を獲得。自己ベスト73.88点に10点以上及ばない62.69点に、表情には悔しさがにじんだ。

【フィギュア】女子SPライブ速報

夢の舞台に立つ原動力はトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)だった。18年春、父を生まれ育った名古屋に残し、母、弟と3人で関西に引っ越した。浜田美栄コーチに指導を受けるようになり、新しい場所でジャンプの基礎を作った。

周囲には18年平昌五輪4位の宮原知子、シニア1年目で世界へ羽ばたいた紀平梨花ら、日本のトップ選手がいた。のちに武器となるトリプルアクセルも、すぐ近くに手本があった。

「梨花ちゃんのアクセルを生で見られたのが大きいです。毎日練習を一緒にして『自分もこうなりたい』と思い出して、練習を頑張れた」

習得した今もコツを尋ねられると「あんまり考えたりしていないです。スピードと思い切りが大事かな」と苦笑いする。身近で見る先輩が“教科書”だった。

21年12月の全日本選手権で3位。わずか3枚の五輪切符をつかむと「出られると思っていなかったのが正直な気持ち。五輪というよりは、自己ベストを目指すっていうことだけを考えて演技をしていました」と明かした。この大会に紀平の姿はなかった。故障で代表選考会に立てなかった先輩から、五輪代表決定後にメッセージが届いた。

「おめでとう。頑張ってね」

北京入り後、河辺はその思いを受け止めて言った。

「梨花ちゃんからメッセージをいただいたのは心強かったです。ノーミスをしたい思いが強いです」

緊張が高まる大舞台で、これまでの努力を演技に注ぎ込んだ。

次は17日のフリーでは紀平の思いも背負い、目いっぱい舞う。