ショートプログラム(SP)5位の樋口新葉(21=明大)が、またトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を決めた。大舞台の最終グループ。「ライオンキング」の冒頭に挑み、見事に成功した。140・93点で合計214・44点となった。

日本女子史上2人目の3回転半ダブル成功者になった。2日前のSPで五輪史上5人目の3回転半ジャンパーになり、この日も成功。大技をSP、フリーともにそろえるのは10年バンクーバー大会で銀メダルを獲得した浅田真央以来、日本女子では2人目となった。

世界で初めて3回転半に成功した伊藤みどりに母親が憧れ、生まれた時からフィギュアスケートをやることが「決まっていた」と笑う樋口。期待通りに成長して、前回18年平昌五輪代表落選の失意を乗り越えて、五輪の舞台にたどり着いて3回転半を決めた。

縁もあった。ふさわしかった。子供のころ、新横浜の練習場で浅田に会ったことがある。「靴を脱いでいる時に通りかかって『こんにちは』と。貸し切り練習の時、控室が一緒になったこともありました」。幼少時から先駆者の3回転半を目に焼きつけてきた。伊藤に会ったこともあり「頑張ってね」と直接エールを送られた。系譜を継ぐ樋口だからこその、五輪でのトリプルアクセル成功。214・44点に21年間のスケート人生を込めた。【木下淳】