スピードスケート男子500メートル決勝で北海道別海町出身の森重航(21=専大)が34秒49で銅メダルを獲得した。同じく同町出身の新浜(しんはま)立也(25=高崎健康福祉大職)は20位だった。ともに中学まで「別海スケート少年団白鳥(はくちょう)」に所属。「白鳥」をつくった楠瀬(くすのせ)功さん(77=別海町スケート協会会長)は「勝つことだけじゃなく大きな声であいさつが基本と教えてきた。よくやったよ」と2人をねぎらった。

楠瀬さんは町立西別中(現・別海中央中)に68年から体育教諭として赴任。経験はなかったが、スケート部顧問に就いた。校庭に土を盛って圧雪し薄く散水して何度も失敗を繰り返しながら手作りリンク(1周250メートル)を全校の教諭と父兄らで作ってきた。

地元の別海中央小学にもリ手作りリンクはあったが、スケート指導者がおらず、楠瀬さんは中学に出勤する前に小学校でスケートを教えていた。それが81年に結成され、森重、新浜が後に所属する「白鳥」の原型だ。「白鳥」からは、楠瀬さんの娘志保さん(52)も94年リレハンメル五輪女子1000メートル6位入賞している。

リンク上で仁王立ちで大声で元気よく教えることから「弁慶先生」と親しまれる楠瀬さんは「81年に町営リンクができたとき、町内大会をやった。レースごとに町の公式記録が塗り替えられ、大会記録が123も出た。当時の町長に『ウチの町から五輪選手を出す』と言っちゃった。メダルを取れるまでになったのは本当にスゴい」とうれしそうに話した。【寺沢卓】

▼別海町 北海道東端に位置し、面積は1319・63平方キロ。国内で3番目に広い町(東京ドーム約2万8077個分)。22年12月末の総人口は1万4552人、人口密度は1平方キロ当たり11人。酪農が盛んで、牛は11万8448頭おり、1平方キロあたりの“牛密度”は89・7頭。20年の生乳生産量は50万1239トンで日本一。サケ、ホタテ、ホッカイシマエビの漁獲地としても知られる。町の鳥はハクチョウ。町名はアイヌ語の「川の折れ曲がっている」を意味する「ペッ・カイエ」から転化。22年度の成人式から18歳成人制を導入する。曽根興三町長。