ロシアによるウクライナ侵攻の可能性が高まる中、北京五輪に参加中の男子スケルトン選手、ウラジスラフ・ヘラスケビッチ(23=ウクライナ)が11日の3回戦の後、テレビカメラに向かって「NO WAR IN UKRAINE(ウクライナに戦争はいらない)」と書かれたボードを掲げた。

この問題で国際オリンピック委員会(IOC)が同選手にコンタクトを取ったことを明かした。

IOCのマーク・アダムス広報部長が13日、「あの出来事のあと、我々は(ウクライナの)選手団と選手本人に話をし、状況について説明しました。その結果、彼は4回戦では同様のことをしなかった。理解してくれました。我々はみんな平和を求めている。でも我々みんな、そして選手たち全員が競技場や表彰台が、どのような声明であってもそれを発表する場所ではないということで同意しています」と話した。

IOCは五輪憲章第50条で表彰式や競技会場で政治的、宗教的、人種的な宣伝活動を禁じている。だが昨夏の東京五輪で適用したガイドラインでは規制を一部緩和。特定の国や人を標的にしない、妨害行為とならないなどを条件に、競技会場でも選手入場時や紹介時の表現行為を容認した。

それでもアダムス広報部長は「我々にとってそれ(五輪から政治的なものを取り除くこと)は大前提。我々が行うことの基本となっている」と話し、依然として五輪における政治的行動は認められないという立場を強調した。