北京五輪スノーボード男女ビッグエアの予選が14日に行われる。日本勢に有力選手がそろう女子は、表彰台独占の期待もかかる。

その中の1人が、平昌五輪に続いて2大会連続で出場する鬼塚雅(23=星野リゾート)。雪とは縁遠い熊本県出身で、メダル獲得となれば、冬季五輪における国内最南端メダリスト誕生となる。

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14日のスノーボード男女ビッグエア予選に2大会連続出場する鬼塚雅(23=星野リゾート)は、雪とは縁遠い熊本県出身で、今大会の日本選手唯一の九州出身選手。表彰台に上がれば、冬季五輪国内最南端メダリストになる。5日に行われたスロープスタイル予選19位からの巻き返しを期す。

5歳の時、福岡市内にあった室内ゲレンデを家族で訪れたことがきっかけでスノーボードを始めた。小学生時代は「多いときは週5日は通った」。熊本から車で片道2時間かけて移動。車中で宿題をすませ、夜遅くまで練習した。

15年世界選手権のスロープスタイルで大会最年少の16歳3カ月で優勝も、18年平昌五輪は振るわず「オリンピックはちょっと嫌い」と嘆いたが、今年1月のXゲーム(米国)でビッグエア3位に。高難度のキャブダブルコーク1260(逆スタンスから斜め軸に縦2回転、横3回転半)の成否が、メダル獲得のカギになりそう。

冬季の国内最南端出身メダリストは、92年アルベールビル五輪ショートトラック男子5000メートルリレー銅の石原辰義(佐賀県佐賀市)。鬼塚がメダル獲得すればさらに南下する。大会前には地元の人たちに「なかなか雪のスポーツに触れる機会がないと思うので、私の競技を見て一緒に楽しんで」とアピールしていた。【奥岡幹浩】

◆スノーボード・ビッグエア 30~40メートルの長さがあるキッカー(ジャンプ台)を滑り降り、空中技の難易度、完成度、高さ、着地の美しさなどを競う。18年平昌五輪から新種目に採用された。多くの選手はスロープスタイルにも出場する。

◆首鋼ビッグエア競技場 北京五輪に向けて、製鉄所跡地の首鋼パークに新設された競技会場。フリースタイルスキーやスノーボードのビッグエアでは世界初の常設会場となる。巨大な冷却塔など、工場だった当時の雰囲気が色濃く残る公園内に、長さ164メートル、幅30メートル、高さ60メートルのジャンプ台が設置された。

◆鬼塚雅(おにつか・みやび) 1998年(平10)10月12日生まれ、熊本市出身。熊本・ルーテル学院高-早大卒。星野リゾート所属。5歳でスノーボードを始める。15年世界選手権女子スロープスタイルで、16歳3カ月の史上最年少制覇。ビッグエアでは20年のXゲームで、大技「キャブダブルコーク1260」を女子では初成功させて優勝した。18年平昌五輪はスロープスタイル19位、ビッグエア8位。身長158センチ。