大塚健(20=バートン)は9位だった。

1回目に失敗したキャブトリプルコーク1800(5回転)を2回目に決めて、95・00のここまで最高点を出した。確実に立ちたい3回目は、2回目と方向が違うフロントサイドで5回転に挑戦。テールグラブも入れて高得点を狙ったものの、着地でバランスを崩して転倒し、上位進出は逃した。

「やっぱりレベルの高い試合だし(難度を)抑えたりとかして、4位とかで終わるのは絶対に嫌だし。自分が「抑えて」では納得できない部分があった。攻めた結果がこうなっている。大会に勝てなかったのは悔しいですけど、次につながればいいなと思います」

ケガを乗り越え、戻ってきた場所だった。

世界最高峰の賞金大会X18、19年と連覇したが、その後、米国での撮影中に左ヒザを大けがを負うなどし、2年近く競技から遠ざかった。「いつになったら体が100パーセントに戻れるのか。不安もあったし、つらかった」。そんな中で支えとなったのが、同じく怪我からの復帰を目指すアスリート仲間の存在だった。20年2月に左ひざ前十字靱帯(じんたい)断裂を負傷したスケートボードの白井空良や、20年秋に左足かかとを粉砕骨折したBMXの中村輪夢らと励まし合い、それぞれが競技復帰を目指した。大塚は「お互いにモチベーションを落とさないで、互いに頑張れる気持ちにさせてくれる友達」と感謝する。

リハビリ生活を乗り越え、初めて臨んだ五輪の大舞台。スロープスタイルでは10位に敗れたが、前日のビッグエア予選では横5回転の大技を最後に成功させて2位で決勝に進出。取り戻した自信を胸に決勝に臨んだ。結果にはつながらなかったが、自らのパフォーマンスは最大限に発揮した。【奥岡幹浩】