パリ五輪(オリンピック)の柔道は、ちょうど10日後、開会式の翌27日から始まる。
女子48キロ級の角田夏実(31=SBC湘南美容クリニック)が有力視される大会のメダル第1号が、日本の夏季五輪通算500個目。前回21年の東京五輪まで計96個を積み上げた柔道としても、今夏4つ目で大台の100個に到達する。目が離せない大会前半の花形競技。女子48キロ級で日本最多の5大会連続メダル獲得(金2銀2銅1)を誇る谷亮子さん(48)が、男子の鈴木桂治監督(44)女子の増地克之監督(53)と鼎談(ていだん)し、お家芸の男女14代表を紹介する。【取材・構成=木下淳】
谷亮子さん特別コメンテーター就任 角田「金確実」阿部兄妹「優勝揺るがない」1
「ミセス高市」でも勝って アグベニェヌは「ママでも金」期待/谷亮子さん2
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男子73キロ級の橋本壮市(32=パーク24)は、初のオリンピック(五輪)を日本柔道最年長の32歳11カ月6日で迎え、谷亮子さんが5回目の08年北京五輪で記録した32歳11カ月3日を16年ぶりに更新する。
女子63キロ級では、谷さん同様に結婚して出場する高市(旧姓田代)未来(30=コマツ)と、東京五輪で優勝した後に出産し「ママでも金」を目指すクラリス・アグベニェヌ(31=フランス)の勝ち上がりが注目される。
◆60キロ級 永山竜樹
鈴木監督 男子の紹介を続けます。土壇場から生き残った男です。選抜体重別で22年に1コケ(初戦敗退)し、翌23年も3位。首の皮1枚から3連勝して、最後は東京五輪金メダルの高藤直寿選手に勝ちました。あれだけの窮地から…これは本物だなと。初日から勢いづけてくれれば。
谷さん 156センチと小柄ですが、すごい筋肉量。5月の世界選手権に五輪代表の14人で唯一、出場しました。まさかの初戦敗退でしたが、この経験が五輪金への追い風となるでしょう。
◆73キロ級 橋本壮市
谷さん 私は北京五輪に32歳11カ月と「3日」で出ましたが、橋本選手は32歳11カ月「6日」で歴代最年長になるみたいです。30代だからこそできる柔道もあるので、期待しています。
鈴木監督 苦労を見てきた分、勝ってほしい選手。16年のリオデジャネイロ五輪は補欠で、コーチだった自分と現地で見ていて。同い年の大野将平選手が優勝した瞬間、悔し泣きしていました。東京五輪も補欠で今回が集大成。三度目の正直、必ずやってくれます。
◆81キロ級 永瀬貴規
谷さん リオで銅、東京で金を獲得し、次は当然連覇を期待される3度目の五輪です。心技体のバランスをいかに作り上げていくかが重要ですね。
鈴木監督 体は元気でも心が疲れている状態、ありますよね。それでも「道場に住んでいるんじゃ」と疑われるくらい、誰よりも練習するので「休んでください」とお願いしたほど。2連覇へピークを合わせてくれれば。信頼しています。
◆90キロ級 村尾三四郎
谷さん 「平成の三四郎」と言えば古賀先輩でしたが、名前もいいですよね。本番の組み合わせはどうですか。
鈴木監督 東京五輪覇者のベカウリ選手(ジョージア)とは決勝で当たる山になりました。23歳同士、末永くライバルとなりそうな2人の対決が楽しみです。
◆100キロ級 ウルフ・アロン
谷さん 東京で金メダルに輝いた後、メディアに多く出演して普及に尽力してくれましたね。この階級では、井上康生先生でも果たせなかった世界初の2連覇が懸かっています。
鈴木監督 (体重が一時125キロまで増えるなど)横着して、心が散漫な時期もありましたが(笑い)。今は最高の状態。大会ごとに優勝者が入れ替わる激戦区ですが、ぜひ2連覇の期待に応えてほしいですね。
◆パリ五輪の柔道競技 27日から8月3日まで男女1階級ずつ(最終日は混合団体戦)行われる。予選ラウンドは連日午前10時(日本時間午後5時)から。エッフェル塔がある公園内のシャンドマルス・アリーナが会場。男女平等の観点から、初めて決勝順が女子→男子、翌日は男子→女子と交互になる。日本勢は14代表のうち8人が初出場。一方で阿部兄妹、永瀬、ウルフ、素根は連覇が懸かる。
◆谷亮子(たに・りょうこ)1975年(昭50)9月6日、福岡県生まれ。小学2年で柔道を始め、福岡国際女子を最年少の15歳で制覇。人気漫画から「YAWARAちゃん」と呼ばれて人気を博した。福岡工大付高、帝京大、日体大大学院、トヨタ自動車。世界選手権は6連覇を含む7度、全日本選抜体重別は11連覇を含む14度の優勝と異次元の成績を残す。家族は03年12月に結婚した元プロ野球選手の谷佳知氏と2男。五輪は92年バルセロナ、96年アトランタが銀、00年シドニー、04年アテネが金、08年北京大会が銅。「(旧姓)田村で金、谷でも金、ママで銅」を果たした。146センチ。
◆鈴木桂治(すずき・けいじ)1980年(昭55)6月3日、茨城県生まれ。国士舘中、高、大を経て平成管財。アテネ五輪男子100キロ超級金メダル、100キロ級で出場した北京五輪は日本選手団の主将を務めた。世界選手権は無差別級など2階級制覇。12年から全日本男子のコーチ、東京五輪後の21年から監督。184センチ。
◆社告 谷亮子さんがパリ五輪で「日刊スポーツ特別コメンテーター」を務めます。「パリで金 やっパリ金」と題して、他競技も含めて五輪について思ったこと感じたことをつづっていきます。五輪5大会連続メダリストとして柔道解説にもご期待ください。



