競泳の男子50メートル自由形(視覚障害S11)では木村敬一(33=東京ガス)が25秒98の日本新記録で金メダル。今大会の日本勢の金は2個目となった。
男子100メートル背泳ぎ(運動機能障害S8)でも、窪田幸太(24=NTTファイナンス)が銀メダルを獲得した。
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棒で選手をたたいてゴールを伝えるタッパーが「25秒98、1位です」と金メダルを告げると、木村は右腕を高々と突き上げ、何度も水面にたたきつけた。「燃え尽きるような気持ちで臨んだ。全てがうまくいった」。力から技へ、進化が詰まった会心のレースに喜びを爆発させた。
レーンから外れないよう、コースロープを右側に感じながら泳ぐ。この日は飛び込むと「割と早い段階で見つけられた」ことで集中できた。中盤以降に混戦を抜け出し、最後は腕が伸び、今年世界トップの記録を持つ中国選手らに競り勝った。
2歳で全盲となり、小学4年で競技を始めた。泳法を覚えた後に視力を失った選手もいる中で、他人が泳ぐ姿を見たことがない。フォームは「我流」ゆえに水の抵抗が大きい。肉体を鍛え上げ、パワーで粗削りなフォームを補ってきた。
2021年東京大会の100メートルバタフライ金で宿願を成就し、新たな気持ちが芽生えた。「泳ぎの技術で進歩できれば、目の見えない人の運動スキルの獲得に何かヒントを与えられるかもしれない」。
昨年2月から女子200メートルバタフライの五輪銅メダリストの星奈津美さんをコーチに招き、体幹を使った、きれいなストリームラインを学んだ。水をかくたびに腰が大きく反るなどの無駄な動作が減り、これが自由形にも生きた。52回だったストローク数は47回となり、一かきの距離が伸びた。
視覚障害者を勇気づける日本新記録での栄冠で、1万人超の大観衆が見守った表彰式では喜びをかみしめながら君が代を聞いた。「(原則無観客の)東京でちょっと欠けてた部分。それを埋め直せた君が代だった」と、その表情は光り輝いていた。



