【パリ=阿部健吾】20歳のヒロイン候補が決勝進出を決めた。レスリング女子53キロ級で世界女王の藤波朱理(20=日体大)が準決勝で東京五輪銀メダルの〓(マダレに龍)倩玉(中国)を下して決勝進出を決めた。公式戦連勝記録を136に伸ばし、頂点まであと1つに迫った。8日の決勝ではルシア・ジェペス(エクアドル)と対戦する。
「本当にオリンピックチャンピオンになるためにここに来たので、しっかり明日もう1回集中して、自分のレスリングをして、必ずオリンピックチャンピオンになりたいと思います」
会場を見渡しながら入場し、試合に臨んだ。
「本当にこのいっぱいの観客席だったりとか、地元からお母さん、おばあちゃんだったりが応援に来てくれていて、本当にこの雰囲気っていうのはなかなか味わえないと思うので、目に焼き付けようという思いで、しっかり見て、目に焼き付けてパワーもらって試合に挑もうと思いました」
第1ピリオド(P)でバックを取るなど攻め続け次々とポイントを獲得し6-0。第2Pも余裕を持って攻め続け10-0のテクニカルフォール勝ち。危なげなく勝利を収めた。
「私はオリンピックチャンピオンになるために、今までやってきたので、しっかり明日1個必ず勝って金メダルを持ち帰られるように。注目してください」
3月にアクシデントに襲われた。練習中に左肘を脱臼して靱帯(じんたい)断裂の手術を行った。「瞬間っていうのは、肘の痛みも心の痛みも過去最大だった」としながら、「自分でも驚くぐらいすぐ前を向けて、たくさんの人のおかげで前を向くことができて、毎日毎日ほんとに充実した日々を送れています」と調整に励んできた。
この日は初戦から2試合連続でフォール勝ち。「いい緊張感と楽しみな気持ちがある。バランスの取れた精神状態で臨める」と冷静に闘った。2試合とも相手が左肘を狙って腕を取りにきた。準々決勝は上半身に意識がいき、足を払われて2-2の内容差でリードを許す場面もあった。ギアを上げるようにタックルを仕掛けて一気に仕留めた。
ケガを負ったことから食事面の見直しも行ってきた。「揚げ物や、生クリームいっぱいのケーキとかも本当は好きなんですけど、そういったものはこの世にないものと思ってます」と笑顔で明かしていた。リハビリ期間に、パリ五輪の決勝日までのカウントダウンを始めた。冷蔵庫に張った日めくりカレンダーをめくるのが朝の日課となり、「パリが終わったら、全部食べます!」。カウントダウンが「0」になる日は8日。金メダルを手にしてご褒美の時間とする。



