<リオ五輪:柔道>◇12日◇男子100キロ超級決勝

 決勝戦は残念な試合だった。原沢選手は初戦から冷静に相手に合わせる組み手で落ち着いて試合を運べていた。一方のリネール選手は以前の強さがなくなって、技で勝つより組ませないで指導で勝つレベルに落ちていたので、決勝は原沢選手につけいる隙があるとワクワクしていた。しかし、その内容は面白みに欠けたものだった。

 リネール選手は道着をつかみにくる相手の道着を切って、切って、組ませないことを第一に考える。そこで指導をリードして、あとは逃げ切ることに終始した。いまのルール改正はしっかり組んで投げることを志向しているはずなのに、最も注目される五輪の100キロ超級の決勝戦で、技が出ない試合を見させられる。関心がなくなるだろうし、以前の面白くないと批判された時期に逆行しているようだった。持って投げる、柔道の原点を貫く日本柔道で、この手法を打破していく必要があるだろう。(92年バルセロナ五輪金メダル)