陸上女子短距離のホープ、御家瀬緑(恵庭北3年)が変化を恐れず東京五輪イヤーを駆け抜ける。

2日、恵庭市内の同校卒業式に出席。昨年高校生としては29年ぶりに日本選手権女子100メートルを制した期待の新星は「自分の走りはどんどん変えていって、新しい走りにも(挑戦)していきたい」。4月から所属する住友電工で憧れの福島千里(31=セイコー)の持つ11秒21の日本記録更新を狙う。

「一番良い選択をした。苦しい時期もあったけど、その倍ぐらい楽しいことやうれしいことがたくさんあった」。高校生活を振り返り、そう口にした。総体2連覇、日本選手権優勝、アジア大会日本代表。指導する北海道ハイテクACの中村宏之監督(74)が認める「自分で考えられる力」で、弾むようなバネのある走りの特長を引き出し急成長。100メートルの自己記録は高校3年間で0秒72縮め11秒46。「五輪が夢から目標に変わった。自分の可能性を信じてやっていきたい」。五輪への思いを口にできるまで力をつけた。

拠点を東京に移す社会人1年目の今季は、日本連盟が選考した8人の女子リレー代表候補として迎える。「今は次に向かってワクワクしている。(北海道は)自分の原点。忘れずに頑張りたい」。昨年11月末に負った右足甲の痛みから順調に回復。5日に離道し、シーズン初戦で代表選考を兼ねる4月の織田記念に照準を合わせ調整を続ける。「レースが楽しみな気持ちはずっと変わらない」とはにかむ18歳には、無限の可能性を秘めた未来が広がっている。【浅水友輝】