多田修平(25=住友電工)が10秒15(追い風0・2メートル)で初優勝を飾り、東京五輪内定をたぐり寄せた。

多田は野球など多くの競技の強豪で知られる大阪桐蔭高から、関西学院大に進み、19年春に住友電工入社。この春、創部104年目を迎えた関西学院大陸上部(現役、OB)からは、初の100メートル五輪代表となった。1964年の東京五輪には浅井浄さん(81)が男子400メートルリレーに出場。だが、個人種目の100メートル出場はかなわなかった。

東大阪市出身の多田にはこの日のレース後、観衆から大きな拍手が送られた。

「地元大阪で、本当に大阪には、いろいろ感謝をしないといけない人がたくさんいる。こういう優勝で、大阪の方に恩返しできたのは良かったと思います」

大学卒業まで関西で育った男が、最高の走りで成長した姿を届けた。

 

◆選考方法 1位の多田、3位の山県はともに参加標準記録(10秒05)を突破済みで、「3位以内」に入ったため2人は代表に決定。2位のデーデーは参加標準記録をクリアできておらず、世界ランキングでの出場資格にも遠く届いていない。そのため日本選手権で「3位以内」には入ったが、100メートル代表にはなれない。残る1枠は参加標準記録を突破した選手の中から、日本選手権の上位順で選ばれるルール。そのため4位の小池が決定的で、1種目最大3人までの条件から、5位の桐生、6位のサニブラウンは落選となる。

男子400メートルリレーについては、日本選手権が選考上「最重要選考競技会」と位置付けられている。100メートルの代表選手に加え、200メートルの代表選手との兼ね合いになるが、デーデーが代表入りする可能性も十分。また「特性と戦略を考慮」して選考するとされており、桐生やサニブラウンの可能性も残っている。