東京オリンピック(五輪)に臨む侍ジャパン内定選手が16日に都内で発表された。広島からは12球団最多5選手が選出された。広島の守護神を務める栗林良吏投手(24)は新人でただ1人の選出となり、金メダル獲得を目指す代表の強力救援陣の一角を担うことになった。チームは交流戦を3勝12敗3分け。球団歴代ワーストとなる勝率2割で終えた。

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広島の守護神栗林が、新たな使命を背負った。東京五輪での金メダル獲得を目指す侍ジャパンに新人でただ1人、選出された。「本当に入っていいのかなという気持ちももちろんある。たくさん経験できるということでプラスに考えていきたい。与えられたポジションでしっかり自分の力を発揮して、日本の金メダルに貢献できるようにやっていきたい」。トヨタ自動車に所属していた昨年の開催ならば、選出はまずなかった。新型コロナウイルス感染拡大により1年延期となったことで、五輪出場の道が開けたといえる。

広島で守護神の座をつかみ、開幕22試合連続無失点の球団記録を更新した。12セーブはセ・リーグの日本人投手では最多。自らの力で日の丸を背負う権利を得た。稲葉監督は「三振を取れる投手。リリーフと通用すると思っています」と期待する。特に決め球のフォークは国際大会で大きな武器となるに違いない。本人も「通用しなかったら、選んでもらった意味がない」と言い切る。同世代の西武平良とともに強力救援陣の一角を担う。

4年に1度開かれるスポーツの祭典に、栗林自身も胸を突き動かされてきた。「スポーツをみるのはすごい鳥肌が立つことも多いし、力になることもある。五輪はもちろん、ほかの大会も見ていた。いろんなスポーツを見て刺激にしている」。ソフトボールや柔道、水泳など競技を問わず、アスリートの底力を感じ、勇気をもらった。今度は自分が日本中に勇気を与える番だ。

広島からは栗林のほか、鈴木誠や森下ら5選手が選出された。森下とは大学以来の代表選出となった。「(投手では)暢仁しか知り合いがいない。プロに入るときと同じ、暢仁に付いて行く」。“ヤング侍”の1人として、栗林が世界の舞台に立つ。【前原淳】