日本フェンシング協会が25日、9月の開催を決めた今年の全日本選手権(17~19日=予選、26日=決勝)の概要発表をオンラインで行った。

新型コロナウイルス感染症の流行状況を見ながら、無観客で決勝はインターネット配信する。男子フルーレで08年北京(個人)12年ロンドン(団体)とオリンピック(五輪)2大会連続の銀メダリスト、太田雄貴会長(34)が会見した。

質疑応答では今回の無観客開催と重ね、来夏に延期された東京五輪で議論されている簡素化、無観客の可能性について聞かれた。「東京五輪では、あらゆる可能性をオプションとして頭に入れておくことは大事」と即答した上で、自身の経験を披露。「観客の皆さんの声援に後押しされて自分は五輪でメダルを取れましたし、02年の全日本選手権で優勝した時も、決勝で一時2-10で負けていたんです。でも、3点目を取った時に地元の高校生がものすごく大きな声で応援してくれて。それで、いわゆるゾーンに入って逆転勝ちした」と語った。あくまで今回は新型コロナ禍で無観客の新たな形を試すが、観客の重要性はあらためて強調した。

その上で「観客がいないことで選手のパフォーマンスに影響はあると思いますが、来年、世界中のお客さんをフルで入れるのか、どのぐらい入れるのか、無観客なのか(は別問題)。どのような決断をしても批判されるのが五輪。ぜひ組織委員会の森会長にリーダーシップを取ってもらいたい」と期待し、今回の全日本の成功例が来夏の五輪にも生かせる可能性も出てくることには「まずは9月の全日本に集中したい。我々の取り組みがモデルケースとなれば幸いですが、組織委の皆さんは皆さんで当然、考えていらっしゃることですので。自分たちができることを精いっぱいやりたい」と適切な答えを返してみせた。【木下淳】