島根県の丸山達也知事は17日、県内で実施する予定だった東京オリンピック(五輪)の聖火リレーについて、「開催すべきでない」と中止の意向を表明した。県の聖火リレー実行委員会で明らかにした。五輪のリレーは5月15、16日に実施し、パラリンピックは日程調整中だった。「今の時点で中止をお願いするわけではない。状況を見て、(政府と東京都の対応が)改善するかどうかあらためて判断したい」とも述べた。委員会終了後の記者会見で、五輪自体の開催にも反対する考えを表明した。

丸山氏は委員会に先立ち、取材に「新型コロナウイルス感染拡大を封じ込めるための政府や東京都の対応に不満がある」などと理由を明かした。中止を引き合いに、改善を促すのが狙い。県は、警備費用などを予算化しており、県の判断で事実上中止することができる。

丸山氏は10日の記者会見でも政府や都を批判。東京大会について「開いてもらっては困る。資格がない」と述べ、改善が見られなければ開催に反対すると表明していた。

また、東京都内で保健所の業務が逼迫(ひっぱく)し積極的疫学調査を縮小したことや、緊急事態宣言中に小池百合子都知事が千代田区長選の応援に出ていたことなどを挙げ「対応能力の水準が低いところにリスクの高いイベントを実施する資格があるのか」と指弾した。

宣言対象地域と、島根県のように感染が少ない自治体で、政府の支援の差があることにも「なぜこんな不公平な扱いができるのか」と述べていた。

丸山氏は福岡県広川町出身で1992年に自治省(現総務省)に入省。2013年から3年間、島根県に出向し、環境生活部長や政策企画局長を務めた。19年4月の知事選で初当選した。(共同)