女子ゴルフの渋野日向子(21=サントリー)が15日、国内女子ツアー開幕戦となるアース・モンダミン・カップ(25~28日、千葉・カメリアヒルズCC)を前にオンラインで会見した。1月24日に地元岡山で一日税務署長を務めて以来約5カ月ぶりの公の場。前髪がきっちりそろった髪形で登場した。アプローチ特訓でウエッジ(58度)は5本目に突入し、体重は3~4キロ増。“たこスイング”などでドライバー飛距離も約10ヤードアップした。待ちに待った開幕へ。“ニューしぶこ”は「楽しみしかないです」と超前向きだ。

新型コロナウイルス禍で3カ月半も空白ができた。大目標の東京五輪は1年延期が決まり、ツアーは今年の37戦中20戦で中止が決定。第17戦目での開幕だ。しかも20-21年が統合された異常なシーズンになる。それでも、渋野は渋野だった。「昨年もすごく楽しみだったけど、今年も楽しみしかないです」とニコニコ笑った。

2020年は“ニューしぶこ”を見せる。「課題のアプローチを極めるのみ」と昨年暮れから取り組むショートゲーム。ドライバーなど長いクラブは1日100球も打たなかったが、アプローチは400~500球。フェースの溝は消え、裏面も削れた。

青木翔コーチ(37)が「ウエッジは58度が今、5本目、52度とピッチング(PW)が2本目。ヘッドを(素材が消耗しやすい)フォージドから、ソフトステンレスに替えたんだけど」と首をかしげる練習量。渋野は「昨年は(サンドウエッジにあたる)58度だけでしたが、転がしも練習して、今はPWまで使います」と手応えを感じている。

攻撃ゴルフを支えるドライバーも、飛距離が約10ヤード伸びた。トレーニングで体重が3~4キロ増え、パワーアップ。一方で「手を柔らかく使う」(渋野)“たこスイング”を「たこ、たこ考えてたら(混乱して)たこが分からなくなった。でも、イメージは変えず、たこで行きます」と、徹底的に“たこになる”つもりだ。ツアー停止のブランクで、青木コーチの将来的な腹案だったスイング改造にも着手。広めのスタンスを狭め、再現性を高める。その狙いも徐々に身についてきた。

開幕戦は無観客開催だ。「自分(の第1打)がフェアウエーに行ったかわからなかったり、バーディーの時とか…。正直寂しい気持ちが強いです」。来年の米ツアー挑戦、東京五輪出場を願うなら、立ち止まっていられない。「最近、久々に緊張しています。“どうやってプレーしとったかな?”と。忘れちゃってます」。開幕戦の目標は「予選通過」と低めにしたが「100%準備できた状態で臨みたいです」。バージョンアップしたゴルフの先には、優勝争いがある。【加藤裕一】

<今後の出場方針>

渋野は昨年優勝したメジャーのAIG全英女子オープン(8月20~23日、英国・ロイヤルトルーンGC)に、今年も出場する方針だ。青木コーチはメジャー全体について「入国制限などがあるし、はっきりとは言えない」としながら「もちろん行く方向」。渋野も「全英はディフェンディング(前年優勝)なんで」と語った。他のメジャーは中止になったエビアン選手権を除き、全米女子プロ(10月8~11日)全米女子オープン(12月10~13日)も出場の方向で検討する。悩ましいのはANAインスピレーション(9月10~13日)だ。国内メジャーの上、渋野の故郷・岡山のJFE瀬戸内海GC開催となる日本女子プロ選手権と日程が重なる。

渋野は「自分が引退した時に後悔しないと思える方に決めたい」と話した。