4月の全日本選手権覇者の橋本大輝(19=順大)が初の五輪となる東京五輪出場を決めた。全日本の得点を持ち越した個人総合で、合計259・530点で優勝し、上位2人が自動的に決まる団体枠の座をつかんだ。

全日本では予選7位から、決勝では個人総合での金メダル級の難度、出来栄えの演技を6種目並べ、大逆転優勝を果たしていた。「日本王者になったんですけど、そこは通過点だと思っている。7位から逆転での優勝は大きな経験で、自信がつきました。あとは世界一を取りたい」。今大会前には言葉に力を決めて、宣言していた。

内村航平(ジョイカル)が鉄棒に専念する中で、日本のエースとして期待がかかる。内村からも「日本の中心となってやっていかないといけないのは分かっていると思う。付け加えて、僕の経験を伝えていければさらに強くなると思ってます」とバトン継承を期待されている。

五輪を意識したのは小学生時代。まだ体操を始めて間もなかったが、兄2人が順大で週に1回の練習をする時に、家族にねだって同行していた。そこで04年アテネ五輪団体金メダルの冨田洋之さん、鹿島丈博さんの姿を目の当たりにした。世界一の演技。まだまだ数えるほどしか技もできない中で、「オリンピック」という存在に触れた瞬間だった。

時は流れ、東京開催が決まり、コロナ禍で1年延期にはなったが、10代でたどり着いた舞台になる。「自分が優勝して、一番で代表入りして、安定した演技みせて、日本のエースを言われるように頑張りたい」。その誓いは実現した。日本のエースとして、母国五輪で世界一に挑む。

☆橋本大輝(はしもと・だいき)

◆生まれ 2001年(平13)8月7日、千葉県成田市生まれ。3人兄弟の末っ子で、長男拓弥さん、次男健吾さんが通っていた「佐原ジュニア体操クラブ」で6歳で競技を始める。

◆戦績 市船橋高で18年高校総体個人総合優勝など。19年世界選手権では白井健三に続く史上2人目の高校生代表で団体銅メダルに貢献。

◆1本 ここぞの集中力は中学まで通った佐原ジュニアで。ケガ防止用にクッションが詰まるピットがなく、常に緊張感を伴った。いまも「僕はピットで1本通ったら次は絶対に陸(ピットなし)で通す」。

◆無限君 中学まで世代別代表経験なし。高校入学後に急成長。市船橋高の大竹監督は「体力は『無限君』。1回の練習で何度も試技できる体力、やれるまで粘れる精神力に目を見張った」。高3時の技構成の90%は2年間で習得した。

◆目標 あこがれは16年リオ五輪団体総合金メダルメンバーの田中佑典で「小4で初めてテレビで見てきれいだと」。

◆得意種目、サイズ あん馬、跳馬、鉄棒。164センチ、54キロ