個人総合で五輪2連覇の内村航平(32=ジョイカル)が種目別鉄棒で15・100点の2位となり、個人枠での代表入りを果たした。

米倉英信(24)と争った1枠の争いでは、0・001点が運命を分けた。体操での4大会連続出場は小野喬以来2人目。16年リオ五輪以降は体の痛みを常に抱え、どん底も味わった。種目を絞る葛藤にも向き合い、3大会連続の金メダルに挑む。4人の団体総合メンバーの残り2人は谷川航(24)と北園丈琉(18)に決まった。

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18歳の新星は、泣いていた。最終演技の鉄棒を終えた北園は、つらいこの2カ月間を思い返していた。「最初はこんなにできるなんて思ってなかったし、ケガした時を思い出したらこみあげてくるのもあって」。団体枠4人目で、五輪初出場をつかんだ。

4月の全日本選手権、首位通過で迎えた決勝だった。同じく最終演技だった鉄棒で落下し、両腕を負傷。靱帯(じんたい)損傷、加えて右肘は剥離骨折していた。五輪は絶望だと思われた。3日後、内村からの電話で励まされると、気持ちがよみがえり、高圧酸素カプセルなどでの治療などで急激な回復をみせた。

5月のNHK杯では難度を落としながら課題をクリア。今大会では、全日本の構成に戻して逆転での代表入りにかけてきた。予選、決勝と「最後は自分を信じるだけ」と躍動。鉄棒では恐怖心にも打ち勝ち、チーム貢献度での選出をつかんだ。内村からは「本当に良かったな」と祝われた。

3枠目で代表入りした谷川航も「うれしさとほっとした気持ちが強いです」と安堵(あんど)した。NHK杯後に代表に決まっていた橋本、萱を含め、金メダルを獲得したリオ五輪のメンバーはいない。新布陣で2連覇に挑む。