24分間の激闘が幕を閉じた。男女14階級で唯一、決まっていなかった代表を決める日本柔道史上初の「ワンマッチ」が行われ、17年から世界選手権2連覇の阿部一二三(23=パーク24)が制した。19年世界王者の丸山城志郎(27=ミキハウス)に、本戦4分、延長戦20分の末に大内刈りの技ありで優勢勝ちし、来夏の五輪代表内定を勝ち取った。

試合後、井上康生男子日本代表監督(42)のコメント全文は以下の通り。

「まずは阿部選手、丸山選手、本当に素晴らしい試合を見せてくれたことに、心から感謝したいなと思います。彼らは、すべてをかけてこの場に立って、勝敗が決まってしまった部分はありますけど、本当に素晴らしい試合内容で、戦ってくれたんではないかなと思います」

「(長い代表選考が決着し)正直な気持ち、五輪の本戦で、この闘いが見られればなあ、という気持ちではいましたけど、それが、かなわないことは重々承知です。阿部は、丸山の思いも背負って本戦でも戦ってくれると思いますし、丸山も、これを糧にさらなる成長を見せてくれるのではないかな、と思っています」

「(24分間の死闘を終えた両者に)24分間の試合はもちろん、ここまでの過程も、陰ながら見させてもらってきた。彼らは、この一戦に向けて、すべてを懸けて、さまざまなことを犠牲にして全力戦ってきたところを見てきましたので。勝負の世界、勝ち負けが決まってしまうところはありますけど、この闘いが彼らのさらなる成長につながると思いますので、本当にお疲れさまでしたと言いたい」

「(阿部の強さを聞かれ)今、そのコメントうんぬんをなかなか出せない状況ですので、またあらためて話をしたいなと。とにかく2人の戦いが素晴らしかったなと今は思うだけです」

「(全階級の代表が出そろい)我々は、この予選のために戦っているわけではなく、やはり本戦で結果を出すために集まった日本代表。代表は7名しか選ばれないが、彼らは代表としての誇りを胸に、また築き上げた仲間や、さまざまな方たちのためにも責任と自覚を持って本戦では戦っていきたい。本戦では、皆さまに元気や勇気を与えられるような戦いをしていきたいと、あらためて、今日の戦いを見る中で誓いました」

【峯岸佑樹、木下淳】