東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の会長代行を務める遠藤利明元五輪相が13日、SPORTEC開催のオンラインセミナーに登壇し、講演を行った。

コロナ禍により来夏に延期となった東京五輪について、開催することに一時は国会内や経済界などで悲観的な声も上がっていたと振り返る遠藤氏。それでも最近になってまた風向きが変わっていると感じており、「まだまだ対策すべきことは多くあるが、皆さんの英知を集めて素晴らしい大会にしていたい」と力を込めた。国際オリンピック委員会(IOC)からの後押しも受けており、「バッハ会長からは先日の会合で、『(開催は)必ずできると確信しています』と、そんな言明もしていただいている。我々も全力で取り組んでいく」と述べた。

今月からプロバスケットボールのBリーグ新チェアマンに就任した島田慎二氏も登壇。コロナ禍における初年度のミッションとして、10月に開幕するリーグ戦全試合日程の催行など、10項目の“マニフェスト”を掲げ、「達成できなかった場合は、その比率に応じて役員報酬を返金する。全部できなければ全額返金する」と、全職員の前で宣言したことを明かした。

元ラグビー日本代表主将の広瀬俊朗氏は、コロナ禍を経験したことによる選手たちの心境の変化に言及。「試合で自分の価値を表現できない期間、選手たちは自分が何のためにスポーツをしているのか、あらためて深掘りする作業ができたと思う。再開後は、選手のパフォーマンスが上がるのではと楽しみにしている」と期待した。

コロナはスポーツの運営面にも大きな影響を与えており、これまで以上にデジタルを効果的に活用することで、難局を乗り切る可能性が高まるとの声もある。そうした中で、多くのスポーツ団体のガバナンス強化などに携わってきた境田正樹弁護士は、「ひとつ間違えると、データの活用は大きなリスクを背負う。個人情報やセキュリティーを守るといったことに対して日本の法制度は遅れている」と指摘。これまでさまざまなデータを効果的に扱ってきた自らの体験も踏まえた上で、「デジタルの必要性が高まっているいまこそ、国も含めて一気に変えるとき」と強調した。【奥岡幹浩】