新型コロナウイルスの影響で来夏に延期された東京五輪・パラリンピックの簡素化に伴う経費削減額が200億円超と積算されたことが6日、関係者への取材で分かった。大会組織委員会が今日7日の国際オリンピック委員会(IOC)理事会で報告する。競技や参加選手の数を維持するため見直せる範囲が限られ、既に会場整備費も投じ終えている中で、各部局が試算していた暫定的概算が出た。

先月25日、大会の準備状況を話し合うIOC調整委員会で、延期による追加経費を圧縮する52項目の簡素化案に合意した。大きな柱は大会関係者の人数を当初から10~15%削減したことだ。飲食や輸送など多岐にわたるサービスの絶対量を削減する見通しが立った。聖火リレーは121日間の日程と約1万人のランナーを守った上で、車両や各到着式の装飾などを見直す。

また、以前から指摘されていたIOC委員ら五輪ファミリーへの過剰な接遇にもメスを入れ、飲食メニューやラウンジ装飾などのサービスレベルを下げた。華美なパーティーも減らしたり、大会前に行う、国立劇場を貸し切ってのIOC総会の開会式も取りやめた。

一方で、削減アピール効果が大きい開閉会式の簡素化は、IOCの抵抗により思うように進んでいない。組織委は式典時間の短縮を提案したが、既に販売済みの放映権を理由に受け入れられなかった。IOCだけでなく国際パラリンピック委員会(IPC)も同様、開閉会式だけは従前規模を維持したい考えで、組織委は苦労を強いられている。

ただ組織委は、開閉会式に限らずあらゆる項目で引き続き経費を節減し、簡素化実現と削減幅を広げることを目指す、としている。