東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会は22日、都内で理事会を開き、大会予算の第5版(V5)を発表した。昨年12月公表のV4から2940億円増え、総経費は1兆6440億円となった。

理事会後、武藤敏郎事務総長(77)が会見。海外メディアから「どう国民に理解してもらうか」と質問されると、こう答えた。

「新型コロナウイルス禍の中での大会運営。東京五輪は、過去にない厳しい条件下で行われようとしている。できる限り簡素化の努力をしているが、この数字になった。ただし、これをコストと見るか投資と見るか、で変わってくる。このコロナという状況の中で世界的なイベントを開催すれば、コロナと生活するという新たなロールモデルになる。意義のあること。コストをかけ、新しい価値観を提示できれば有意義なものになるのではないでしょうか。日本国内では4、5兆円規模の経済効果があるとも試算されており、私はポジティブなところをしっかり見ていきたい」

また、追加経費のうち960億円が新型コロナ対策費。観客の入場制限も現時点では考慮されず、チケット収入見込みは満額となる900億円で計上された。見通しが立ちづらいコロナ対策費が増える可能性も、来春に判断される観客数によってはチケット収入が激減する恐れもある。

どちらの可能性も聞かれた武藤氏は「観客数がどうなるかは国内の状況を見て判断することになるが、歳出については予算の範囲内で対処する。天変地異が起きたら状況は異なりますけれども。コロナについても不確定要因はたくさんありますが、予算として承認された以上、その範囲内で達成するのが基本」と、さらなる経費の追加はない、との認識をはっきり示した。