東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)は28日、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(67)とのテレビ会議終了後、都内で会見した。

新型コロナウイルスが国内外で感染拡大し、変異種が広がりを見せている状況で外国人観客の受け入れについて聞かれ「この流れはもう少し見ていかなければいけない。急に言われてもできないから当然いろいろなシミュレーションをしている」と、あらゆる想定をしていることを明かした。無観客についても「そうしたくはないが考えておかないと」と状況に応じた対応ができると強調した。

外国人観客を含めた観客の取り扱いについては今春に最終判断する予定。しかし、感染拡大に伴い医師会からの声がより厳しくなった点やワクチンの接種時期に不透明感が出ていることから政府内では、外国人観客の在り方を前倒しで検討し、観客を国内在住者に限定する案が挙がっている。

この日の会議で2月中に五輪相や都知事、バッハ会長との4者会談を開くことも確認。開催の形をより具体化し前に進める。3月上旬にはIOCコーツ調整委員長と会議を行う。ワクチンはバッハ会長が外国人だけでなく日本選手にも接種を推奨する期待を示した。国内スタッフやボランティアへの接種について武藤事務総長は「政府方針が基準となる」と回答した。

また、バッハ会長からは先週から重ねた各国際団体との会合で「誰1人として(開催へ)反対意見は出なかった」と聞き「勇気づけられた」と語った。バッハ会長は前夜、IOC理事会後に会見。中止や再延期を改めて否定し「政府やIOCの責任は先を見据えること。選手、各団体、組織委、日本国民、全ての人に忍耐と理解を求めなければいけない」と述べた。32年への再延期を目指すとの一部報道は「臆測で選手を傷つける」と一蹴した。【三須一紀、木下淳】