新型コロナウイルスによる1年の延期を経た東京五輪の聖火リレーが25日、福島県のサッカー施設Jヴィレッジ(広野町、楢葉町)からスタートした。東日本大震災が起きた11年に、女子サッカーW杯ドイツ大会で初優勝した際の「なでしこジャパン」メンバーが第1走者として走った。7月23日、国立競技場(東京・新宿区)で行われる開会式の聖火台にともされるまで121日間、47都道府県を回る。リレーが原因でクラスターが発生すれば本大会の開催にも大きく影響する難しい事業にもなる。

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コロナが終息しない中、国民の五輪支持率は上がらないまま。関係者は聖火リレーで機運醸成につなげたい考えだが、ひとつ間違えば大会開催へ命取りとなる、もろ刃の剣でもある。「大会本番を開催することが大目標の中、聖火リレーでこければ、本番の開催まで危うくなる。極論を言えば聖火リレーなどやらなくていい」と話す政府関係者もいたほどだ。

政府は密を助長する著名人ランナーの見直しを組織委に打診。しかし、組織委はスポンサーとの兼ね合いもあり、密対策を十分に取った上で著名人ランナーを走行させる方針を曲げなかった。一方で、そんな歓迎されないムードに著名人の辞退は相次いでいる。

組織委は沿道観覧で密集が生じ、呼びかけに応じない場合は最悪、当該区間を中断する方針を打ち出した。運営スタッフら関係者にクラスターが発生した場合は公道リレーを中止する方針も示し、細心の注意を払っている。